第1章 積極損害3Q1 整骨院の施術費用・施術期間が負傷の程度からして相当な期間内で収まっていること⑤ 施術費の相当性・施術費用の金額が社会一般の水準と比較して妥当であること(1点20円程度)・適切な頻度での通院であること【反論例2】 貴社は,整骨院の施術費用は認められないと主張されていますが,整骨院の施術費用は必要かつ相当なものであり認められるべきです。 整骨院の施術費用については,『民事交通事故訴訟・損害賠償算定基準』(赤い本)2018年(平成30年)下巻(講演録)27頁の吉岡透裁判官の講演録が参考になります。同講演録に説明があるとおり,整骨院の施術費用の可否については,①施術の必要性,②施術の有効性,③施術内容の合理性,④施術期間の相当性,⑤施術費の相当性の観点から主張します。1 ①施術の必要性,②施術の有効性について 吉岡透裁判官の講演によれば,整骨院での施術について,医師の同意があれば,①施術の必要性,②施術の有効性をうかがわせる一事情となります。また,その同意の方法や内容によって,①施術の必要性,②施術の有効性の度合いが異なります。 この点,本件では,主治医が,「医証」において,傷病名として頚椎捻挫と記載され,その下に「上記について施術をお願い致します。」と記載があります。この記載からすれば,主治医は,整骨院での施術について「同意」を超えて,施術するよう「指示」をしていると評価でき,①施術の必要性,②施術の有効性を強く基礎付ける事情といえます。 また,施術証明書,病院のカルテには,(回復している個別事情を記載),といった記載があり,施術を継続することで症状は回復しており,施術の効果が上がっていることがうかがわれます。 こうした事情からすれば,施術の必要性,有効性は認められます。2 ③施術内容の合理性について 被害者は,○○病院では頚椎捻挫と診断されています。整骨院での施術部位は頸部であり,病院の診断と整合しています。また,施術証明書を見るに,被害者は整骨院にて,電療,あん法の施術を受けていますが,これらの施術は疼痛に対する施術として適切であり合理的なものです。
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