交保
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1Column第1章 積極損害530交民51巻6号1408頁)コラム 1  物件事故のまま治療して問題ない?物件事故のまま治療して問題ない?実治療日数が55日であることを考えると,施術費用24万3190円は明らかに高額とはいえないことから全額を認めた。□1年6か月の整骨院の通院のうち,1年分のみ認めた(東京地判平30・11・ 主治医の同意はないが,整形外科で認められた症状と施術箇所に矛盾はないこと,多忙で勤務先近くの整骨院で施術を受けることは首肯できること,施術回数内容が過剰とはいえないことから,1年6か月のうち,1年分のみを認めた。 交通事故が発生した場合に作成される交通事故証明書には,「人身事故」と「物件事故」の2種類の事故種別があります。 医療機関を受診し,診断書を作成してもらい,これを警察署に提出することで,「人身事故」として取り扱われることになります。したがって,交通事故に遭ってけがをした場合でも,警察署に診断書を提出しなかった場合には,警察としての処理は,「物件事故」のままということになります。 警察の処理が物件事故のままの場合には,物件事故報告書という書面のみが作成されるのに対し,人身事故の場合には,自動車運転過失致傷罪の事件処理がなされるため,実況見分を行った上で実況見分調書が作成されます。 交通事故の賠償実務では,保険会社の担当者から,「物件事故のままでも補償はするので診断書は出さなくていいですよ」などと被害者が説明を受けることがあります。 また,被害者の中にも「補償をしてもらえれば,相手に重い処分まで求めるつもりはない」,「運転者が友人なので,大ごとにしたくない」ということを言われることがあります。 そこで,物件事故のまま治療をしても問題ないのかを検討することが必要になります。 この点,「人身事故」,「物件事故」の取扱いと任意保険会社の対人賠償は必ずしも同一ではないため,物件事故のままでも任意保険会社が一括対応を行い,慰謝料などの賠償を行うことはあります。

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