1 主婦の休業損害⑴ 総 論第2章 休業損害(消極損害その1)57Q21 主婦の休業損害の請求 主婦の場合でも休業損害が認められることは実務上定着しています(最三者の職業を聴取するだけでなく,同居者の有無や被害者が家事を行っているかも聴取しておく必要があります。保険会社から賠償額が先に提示される場合,主婦の休業損害が全く考慮されていないことも多いので,請求漏れがないようチェックするようにしてください。 主婦であることの立証資料としては,家族構成表(例5参照。通常,保険会社 家族などの他人のために家事をする者が被害者の場合に主婦の休業損害を請求し得るため,ひとり暮らしの場合には原則として主婦の休業損害を請求することはできません(『赤い本合本Ⅲ』173頁(鈴木順子「家事労働の逸失利益性」))。なお,ここでいう「他人」には戸籍上の家族関係まで必要ではなく,例えば,内縁(大阪地判平27・6・16自保1956号86頁)や婚約者(大阪地判令4・5・12交民55⑵ 専業主婦の場合 専業主婦の休業損害も,「基礎収入×休業日数=休業損害」という基本の計算式で計算します。 基礎収入については,原則的に賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢の平均賃金を用います(厚生労働省「賃ら更に何割か減額して認定している裁判例が多いです(名古屋地判令2・7・ 休業日数については,①入院日数や通院日数をそのまま休業日数として考える方法,②総治療期間全てを休業日数とした上で,治療開始から終了まで段階的に減額していく方法(逓減方式)などがあります。被害者の代理人と小判昭50・7・8交民8巻4号905頁)。そのため,代理人弁護士としては,被害の所定の書式があります。)や住民票,陳述書などがあります。巻3号613頁)でも休業損害が認められる余地があります。金構造基本統計調査の概況」,Q26参照)。例外として,被害者が高齢者(目安として65歳以上)の場合,学歴計・女性年齢別の平均賃金を用いた上で,そこか1交民53巻4号851頁など)。解 説
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