【⑴ 逓減割合の反論に対する再反論例】 逓減割合をどのように決めるかにあたっては,実際にどれだけ家事ができなかったか(事故前の行うことができていた家事との比較),○○氏の傷病名,治療経過,通院頻度,医師の見解,後遺障害等級の認定の有無,事故規模などの事情を総合考慮して判断すべきです。 本件では,○○氏は○○という診断がされており,その負傷の影響で○○や○○といった家事を行う際に痛みが出てしまい,一定の家事に制限が生じました。そのような状況下で,○○氏は最初の2か月の通院期間は80%程,その後の3か月ほどは50%程の家事を夫に任せていました【⑵ 他の家事を行う家族がいるため休業損害が発生しない等の反論に対する再反論例】 他の家事を行うことができる可能性がある家族がいる場合でも,事故前までに主に被害者が家事を担当していた場合には,被害者の休業損害を認定した裁判例があります(東京高判平28年11月17日自保ジャーナル1990号1頁,東京地判令元年7月12日自保ジャーナル2055号157頁)。 本件でも,事故前は全て○○氏が家事を担当していました。また,○○氏の母は75歳と高齢であり,○○の持病を持っていたことから,○○氏の代わりに家事を行うことは困難でした。このような事情を踏まえると,貴社の休業損害が発生しない,あるいは発生したとしても請求額の○○%という主張は妥当ではありません。【⑶ 兼業主婦の反論に対する再主張例】 ○○氏が事故前と同様にパート勤務をしており,減収もない場合にも一切主婦の休業損害が認められないというのは妥当ではありません。裁判例においても,事故前と同様にパート勤務をしており,減収もない場合にも一定程度の休業損害を認めたものがあります(京都地判令3年8月60第2節 家事従事者(提出済みの証拠である○○氏の日記をご参照ください)。また,通院頻度については,最初の2か月は平均週5日程度,その後の3か月は平均週3〜4日程度通院しており,通院日は家事がほとんどできなかったといえます。加えて,主治医からも安静にして家事を制限するよう指示されており(医療照会の文書をご参照ください),医師の見解としても医学的な観点から家事を制限すべきだったとの意見です。さらに,……6日自保ジャーナル2107号80頁)。 本件では,パート勤務は事故前と同様に行っていたものの,○○の業務時に痛みが生じていて,その痛みを我慢しながら業務を行っていまし
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