交保
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2Column第2章 休業損害(消極損害その1)63【反論例】 男性家事従事者についても,内縁と認められる関係(同居期間等)のパートナーの生活費に頼り,当該パートナーのために家事を行っている場合には主夫の休業損害は認められるべきです(名古屋地判平30年12月5日交民51巻6号1423頁)。 本件では,○○氏は,パートナーと○年間同居しております。また,収入面でも,○○氏はアルバイト勤務として月○万円ほどしか収入がなく,他方でパートナーは正社員で月○○万円ほどの収入があり,○○氏は生活費をパートナーに頼っていた状況でした。そして,○○氏は,日常的にパートナーのために○○や○○といった家事を行っていました。 かかる状況を踏まえると,○○氏は主夫として休業損害が認められるべきです。 主夫の休業損害では,原則的に女性労働者の全年齢の平均賃金を用いることが実務上定着していますが,本当に妥当といえるでしょうか。 この点について,家事に関して財産上の利益を認めた代表的な裁判例として,最大判昭49・7・19交民7巻4号960頁があり,以下のように判示しています。□最大判昭49・7・19交民7巻4号960頁 「……かかる場合には,現在の社会情勢等にかんがみ,家事労働に専念する妻は,平均的労働不能年令に達するまで,女子雇傭労働者の平均的賃金に相当する財産上の収益を挙げるものと推定するのが適当である。……」 当該裁判例では,「現在の社会情勢等にかんがみ」とされていますが,この判決は昭和時代のもので,この当時は「家事は女性が行うもの」という価値観が根強かったと考えられます。 現在では男性でも家事を行うことが多くなっている社会情勢に鑑みると,主夫(主婦)の休業損害を計算する上での基礎収入は,男性と女性を合わせた平均賃金(男女計)とするのが妥当ではないかと筆者は考えています。ただ,裁判例で認められなければ保険会社は当然認めない主張であると考えらコラム 2  基礎収入に関する筆者の私見基礎収入に関する筆者の私見

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