6Column第4節 慰謝料の増額事由継続の間の時間的な負担)も弁護士としては検討しておく必要があります。そ弁護士特約のポイント 何より,被害者本人も裁判までは考えていない場合も多く,裁判になった場合に必要な打合せや資料準備などの労力(作業に要する労力はもちろん,裁判の上で,被害者と打合せや説明を行い,意向を確認しなければなりません。 弁護士特約については以下の特徴が挙げられます。⑴ 適用範囲が広い 弁護士費用特約は,契約者だけでなく,同居の家族や別居の未婚の子も使用することができるので,相談時に「弁特が使えないんですよ」と相談者が言っても実は使えることがあります。保険代理店に使えないと言われていたけれど,実は使用することができたという事例もあります。⑵ 裁判では注意が必要 裁判となり,判決になると,判決で認められた弁護士費用の金額分は,弁護士特約の保険金から控除されるので注意が必要です。例えば,弁護士費用が100万円で,判決で30万円が弁護士費用として認められた場合,弁護士特約からは70万円しか支払われません。 他方で,裁判になっても和解で解決した場合には,こうした控除は行われません。通常,和解では「調整金」という名目で弁護士費用を勘案するため,保険会社も控除しないのです。和解するかどうかの判断に影響し得るため注意が必要です。⑶ 交渉の材料にする 裁判をする場合,弁護士費用が追加で必要になるので,訴額が低額の場合は費用対効果の観点から裁判をしないことが多いと思います。しかし,弁護士費用特約を使用する場合,追加の弁護士費用がかからないので,訴額が低額でも裁判に移行する可能性は十分にあることを保険会社に示し増額交渉をすることも考えられます(訴訟移行する際に弁護士特約の報酬とは別に報酬を取る場合にはこうした主張は難しいかもしれません。)。158
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