交保
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3 保険会社への反論例2 保険会社の主張例第8節 物損に関連する慰謝料交民47巻1号268頁)。 東京地判平15・7・28交民36巻4号969頁では,被害者である現代美術家の陶芸家の作品が多数枚破損し,復元することができない状態となったこと,制作期間1年で相当に労力をかけていたことなどから慰謝料100万円を認めています。この裁判例では,「客観的にも本件被害物件の主観的精神的価値を認めることができる」と評価し慰謝料を認めています。物の破損に対する慰謝料は,その物の作成経緯や作成過程,客観的価値・評価,完成までの工程,完成後の事情等の客観的事情から,法的保護に値する主観的価値があることを主張立証する必要があるといえ,ハードルは相当に高いと考えられます。 物の破損それ自体の慰謝料ではなく,物が破損することで生活の平穏が害されたことに対する慰謝料を認めた裁判例があります(横浜地判平26・2・17 ペットの負傷あるいは死亡に関する慰謝料はQ60をご参照下さい。【保険会社の主張例】 物損は,その修理費用あるいは時価額の賠償をすれば慰謝されますので,物損の慰謝料は認められません。【反論例1】物が破損したことに対する慰謝料 本件事故により破損した物は,,,(物の主観的価値を示す客観的事情を記載)といった事情があります。 こうした事情を踏まえれば,本件事故による物の破損による慰謝料は支払われるべきです。○主観的価値を示す客観的事情の考慮要素となりうる事情・物の製造,作成経緯・作成期間・物の客観的価値・評価178

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