交保
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3 立証をするための手段 以下では,過失割合を立証するための手段を紹介します。第10章 過失相殺211Q70 過失割合取り早く検索できる方法ではありますが,裁判例の原文を確認して内容の真実性は確保するようにします。② 伊藤秀城『第2版 実務裁判例 交通事故における過失割合 ─ 自動車事故及び消滅時効,評価損等の諸問題 ─ 』(日本加除出版,2019年),同『第3版 実務裁判例 交通事故における過失相殺率 ─ 自転車・駐車場事故を中心にして ─ 』(日本加除出版,2023年)に記載されている裁判例 上記実務裁判例シリーズの書籍は,実際の裁判例を基に事故状況のイラストが挿入された上で,重要な判示部分が抜粋されており,参考になります。③ 『赤い本』下巻 赤い本下巻で,特定の事故類型が解説されていることがあります。例えば,『赤い本2024(下)』7頁〜48頁(伊東智和「自転車同士の事故に関する過失相殺について」)では,別冊判タ38号では類型化されていない自転車同士の事故に関する過失割合について解説されています。④ 判例検索サービスの利用 「Westlaw  Japan」や「D 1-Law.com」といった判例検索サービスを利用して,類似裁判例を検索します。 別冊判タ38号やその他の判例で過失割合を検索することができたら,その検索した割合に基づいて被害者側が考える妥当な過失割合を主張・立証していきます。⑶ 合 意 双方が主張・立証を尽くして,お互いに納得できる過失割合が確定したらになります。双方に損害がある物損事案の場合,合意内容には①クロス払いとって経済的にメリットがあるかを検討して選択した上で,示談書に反映させます。(その他の事項も合意内容がまとまっていたら),示談書を作成して合意をすること(双方の損害を過失割合に応じてそれぞれ支払い合う方法)と,②相殺払い(損害の大きい方から損害の低い方の額を差し引いて,その残額を損害の低い方から損害の大きい方へ支払う方法)があり,対物保険を使うかどうかによってどちらが被害者に

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