調停離婚の届出義務者は、原則として申立人であり、申立人が届出期間内に届出をしないときだけ相手方と規定されています(戸籍法 77 条 1 項、63 条)。そのため、「申立人と相手方は、本日調停離婚する」との条項では、相手方から即時の届出をすることができません。相手方にて届出をすることが予定されている場合には、「申立人と相手方は、相手方の申出により、本日、調停離婚する」といったように、調停条項に「相手方の申出により」という記載をしておく必要があります。かかる記載があれば、離婚届の提出は、申立人はもとより、法定届出期間経過の有無に関係なく相手方からも可能となります。 また、離婚届の提出時には、同時に婚氏続称届の提出や(離婚時に旧姓に復氏せず婚氏の継続使用を希望する場合に提出します。)、新たな戸籍作成のための手続を行うことが多いです(詳細は本設問第 2 項参照)。そのため、離婚届の提出は便宜的に婚姻により姓が変わった者が行うという取決めにしておくことが多いです。もし届出予定者が調停の相手方である場合には、条項に「相手方の申出により」といった記載を忘れないよう注意が必要です。 報告的届出の際には、離婚届(届出用紙は役所窓口等でもらえる通常のもの)に必要事項を記入し、提出者が届出人として片方の欄(妻側であれば妻欄)だけに署名捺印をして、所定の添付書類を添えて離婚届を提出します。離婚届には証人の署名欄がありますが、報告的届出の場合は不要です。添付書類は、利用した手続の種類により、判決又は審判による離婚の場合は、判決書又は審判書の謄本及び確定証明書が必要です。調停、和解、請求認諾による和解の場合は、調停調書、和解調書又は請求認諾調書の謄本が必要ですが、これらには不服申立てがないため確定証明書は不要です。添付書類としての調停調書や和解調書等は、財産分与や養育費などの事項が省略され、離婚及び親権者という離婚届提出に必要な事項のみが記載されたもの(いわゆる省略謄本)で差し支えないとされています(平成16 年 4 月 1 日民一第 769 号通達 3)。離婚届の提出先は当事者の本籍地又はQ1 離婚後の手続【1】 3⑵提出者⑶記載方法及び必要書類
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