A 後見制度は元来親権の補完の意味合いを持つに過ぎないこと、遺言による未成年後見の指定においては、その適性を審査する機会が全く存しないことなどを挙げ、あくまでも未成年者の利益を重視して運用されるべきものとし、未成年後見の指定がなされている場合であっても、親権者変更を求めることができるとされています。 したがって、未成年後見人が就いているか否かにかかわらず、生存親は、親権者の変更を求めることができ、子の利益に適うと認められれば、生存親に親権者の変更が認められることになります。 元配偶者が親権者となったのですが、子育てに興味がないらしくネグレクト気味です。親権者がネグレクトしている場合、親権者の変更はできるのでしょうか。 親権者がネグレクトを行っている場合は、親権者の変更が認められる可能性が十分にあります。 親権者を一方に指定したが、その後、虐待などが行われ、子の利益の観点から親権者を変更する必要がある場合には、親権者の変更が認められます。 いわゆるネグレクトも、児童虐待にあたり得ます。児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)においては、「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号(注:暴行やわいせつな行為)又は次号(注:著しい暴言や配偶者に対する暴力などの心理的外傷)と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること」を「児童虐待」と定義しています(同法 2 条 3 号)。Q53 ネグレクトによる親権者変更 111● ● ● ● ●1 親権者変更の申立て53 ネグレクトによる親権者変更Q
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