A ● ● ● ● ●176 第 7 章 相 続 離婚後再婚し子をもうけました。幼子でまだまだお金がかかるのですでに成人している前配偶者の子には相続させずにできる限り再婚後の配偶者との間の子に相続させたいと思っています。 前妻との子とは連絡を取っており、事情を説明すれば理解はしてもらえると思います。何か良い方法はありますか。 遺留分は事前に放棄することができますので、遺留分を放棄してもらうという方法を検討するとよいでしょう。 相続放棄は生前にはできません(東京高決昭和 54 年 1 月 24 日判タ 380 号158 頁)。また、生前に相続放棄をするという合意をしていたとしてもその合意に効力はなく、相続発生後に相続権を主張することはできます(横浜地川崎支判昭和 44 年 12 月 5 日判タ 256 号 295 頁)。そのため、前配偶者との間の子から、相談者が亡くなった場合であっても相続はしない旨の合意をしていても意味はありません。 しかしながら、遺留分は事前に放棄できます(民法 1049 条 1 項)。 遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要であり、単に書面で遺留分は行使しませんと書いてもらっても効力はありません。 遺留分放棄申立ては、被相続人(親)の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。 家庭裁判所は、遺留分放棄申立てがあると、その放棄が推定相続人の自由意思に基づくものか、放棄理由に合理性必要性が認められるかなどについて審理して、相当である場合は遺留分放棄を許可します。 放棄の代償として生前贈与などをしていれば認められやすいですが、必ずしも放棄の代償が必要なわけではありません。 なお、遺留分放棄が真意ではなかった場合(東京家審昭和 54 年 3 月 28 日1 遺留分放棄は生前に行える86 遺留分放棄Q
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