コムラ スが欠かせません。外部弁護士として法律事務所に勤めている時期と、企業に雇用される会社員として働く時期とでは、求められるマインドセットやふるまいが大きく異なります。とはいえ、企業の一員になっても、弁護士として譲ってはならない部分も存在します。そこで、「アンラーニングすべきこと」と「アンラーニングせず維持すべきこと」の2つに分類することを意識します。洗濯物を「洗うか/洗わないか」で仕分けるように取捨選択する作業が必要になるのです。アンラーニングとは、従来の知識・思考パターン・慣習を意図的に手放し、新たな学習や適応を促すプロセスを指します。過去の成功体験が変化への対応を妨げる事態を避けるため、不要あるいは有効性を失った行動様式を能動的に「学びほぐす」考え方です。NystromとStarbuckの研究によれば、人はこのプロセスを経ない限り、過去に縛られやすくなるとされています。本書では、受け身の「忘却」というニュアンスを避け、「学習棄却」「学びほぐし」という訳語を推奨します。アンラーニングとは何か外資系企業で働く中で、法的分析が最終的には事業の土台になると実感しました。専門性を磨く理由はここにあります。私たちはロイヤーであり、堅牢な法的分析を提供できない組織内弁護士は、どれほどコミュニケーション力が高くても、リーガルリスクを正確に特定・分析し、適切な対応策を講じることができません。私(著者)が初めてこの言葉に触れたのはDeNA在籍時でした。創業者の南場智子氏も、マッキンゼーのAirbnbでの堅牢な法的分析―「法的専門性」は必要条件101第 3 章(金貨 9 / 39)1 企業の一員になっても、絶対に捨ててはいけないたった 1 つのもの
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