一方で、組織内弁護士として「ここだけは譲れない」というエッセンスも存在します。それが、「弁護士としての法的専門性を高め続ける姿勢」です。本書では、その必要性を3つの観点から示します。①弁護士法2条による専門性維持―弁護士法2条は、「弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。」と規定しています。これは、組織内弁護士に対して、企業の平均的な法務レベルを満たすだけでなく、弁護士として高度な知識・スキルを維持し続ける弁護士像を示すものです。たとえ、企業から「うちは高度な専門性までは求めていない」と言われても、弁護士としての法的専門性を高め続ける姿勢を捨て去ることは、弁護士法2条が課す弁護士像と矛盾するように思われましかし……弁護士には「絶対に捨ててはいけない」ものがある稲垣泰弘氏「弁護士資格は企業内法務にとって必要条件でもないし十分条件でもないというのが私たちの考え方です。」茅野みつる氏「法律の知識……は重要なのだけれども、それだけをふりかざすような、そういう法務部員というのは逆に必要ではないのです。不要なのです。」―藤本和也ほか「岐路に立つ企業内弁護士(上)」ビジネス法務2015年6月号79頁―藤本和也ほか「岐路に立つ企業内弁護士(下)」ビジネス法務2015年7月号63頁104
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