細は姉妹本『リーガルリスクマネジメントの教科書』(日本加除出版、2023年)参照)によって、事業部門からす(先述の茅野氏などの指摘参照)。一方で、これは「協調性」「組織理解力」「コミュニケーション能力」といす。②転職・キャリア市場での差別化要素―企業を移る、もしくは外部の法律事務所に再度チャレンジするといったキャリアを考える際、「弁護士資格者としての専門性」は否応なく採点対象になります。例えば、誰にも負けない法律の得意分野を持っている、裁判実務や訴訟対応に深い知見がある、といった差別化要素は、転職市場やキャリアアップにおいて競争優位性となり得るのです。③組織内での専門家としての信用力―企業内であっても、法的専門性をプロのレベルから高め続ける「弁護士資格を持つ法務部員」という存在は、適切なリーガルリスクマネジメントやリスク低減策などの提案(詳新たな信頼を勝ち取れる強みを備えています。また、①裁判などの訴訟実務を深く理解している、②臨床法務技術であるリーガルリスクマネジメントを駆使できるなど、法的専門性を高め続けることが、組織の法務機能を高めることにつながります。もちろん、弁護士としての専門性ばかりを強調すると、組織への溶け込みが難しくなるという懸念もありまう別の能力が必要であることを示しているのであり、「弁護士としての法的専門性を高め続ける」ことを否定するものではありません。周囲との衝突を避けながら社内調整を上手に行う能力と、高度な法律知識・スキルを維持し続けることは、むしろ相互に作用し合う関係だといえます。つまるところ、組織内弁護士が「絶対に捨ててはいけないもの」とは何か。私は堀龍兒教授が説く「この分野では誰にも負けない専門性を目指す姿勢」こそ、組織内弁護士が手放してはならない無二の金貨だと考えま金貨の小括105 第 3 章(金貨 9 / 39)1 企業の一員になっても、絶対に捨ててはいけないたった 1 つのもの
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