20 内縁の配偶者21 共有物分割・建物明渡と財産分与16 序章 初心者のための財産分与のノウハウなければなりません。また調停は、取り下げると申立てがなかったことになりますから、その点も注意が必要です。財産分与の当事者には、法律婚だけでなく、内縁の配偶者も含まれます。この点は争いがありません。問題となるのは、当事者間に法律上保護されるべき内縁関係が存在していたか、それとも単なる同棲関係にすぎなかったかという点です。財産分与に絡んで、地裁管轄の民事事件訴訟(共有物分割訴訟や建物明渡訴訟)が生じます。これらは、名義人である配偶者が財産分与を有利に進めようとしていやがらせ的に使われることがあります。最も典型的なのは、共有物分割訴訟です。例えば、自宅不動産の持分割合が夫7:妻3で、現在は、妻と子が家に住んでいる場合、夫からすると、このまま財産分与を進めると半分になるし、結論が確定するまで妻に家に居座られるが、共有物分割訴訟をやれば7対3で分けることができるし、換価分割に持ち込めば妻は家を追い出される。それなら共有物分割訴訟を提起して財産分与を有利に進めようという意図で共有物分割訴訟を提起します。しかし、裁判所からすれば夫の意図は明らかであり、共有物分割訴訟は権利濫用として排斥される傾向にあります。もっとも、居住用でない不動産については、共有物分割を否定する理由はありません。建物明渡訴訟も、建物名義人である配偶者が財産分与を有利に進めるためによく使われます。夫名義の家に妻と子が住んでいる場合、離婚前に夫が妻に建物から出ていけと訴訟を起こしても棄却されます。破綻していても、まだ夫婦ですから協力扶助同居義務があるからです。しかし、先に離婚して、財産分与協議中に夫が建物明渡訴訟を提起した場合は、妻子の居住の必要性と別居している夫の居住の必要性を比較衡量して判断されますが、多くの場合は妻子の居住の必要性の方が高く、明渡請求は棄却されます。
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