裁少
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原典に当たるということ令和少年実務研究会さいたま家庭裁判所部総括判事 加藤 学放指揮を行えるのは身柄を拘束している機関であるが,この場合の身柄拘束に当たる機関が何であるのかは争いがあるところである。そして,少年の身柄を釈放すべき根拠として刑事訴訟法280条2項が挙げられることがあるが,同条は釈放命令を定めた規定であって,釈放指揮を定めた規定ではない。そうすると,この問題については,釈放指揮の要否ではなく,同条同項の準用により家庭裁判所が釈放命令を出すべきかという形で捉え直すべきであろう。3 令和少年実務研究会では,可能な限り条文や原典に忠実な議論を心がけてきた。また,付添人経験を有する弁護士,家庭裁判所調査官,裁判所書記官の方の実務的な知恵もご提供いただき,実務に即した座談会を行った。本書に収められたそれらの成果が,今後少年事件に携わる実務家の役に立てば幸いである。 各論考の『家庭の法と裁判』誌への掲載に当たっては,日本加除出版株式会社編集部の皆さまに大変お世話になった。また,単行本化に当たっては,同部の牧陽子氏にひとかたならぬお世話になった。ここに感謝の意を表したい。 なお,各論稿,座談会での発言は,執筆者,発言者の私見であることをあらかじめお断りしておきたい。 2025年9月vi

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