裁少
40/52

項 目 第1 事件係属当初の検討第2 調査進行中の連携第3 審判直前の準備第4 審判での工夫第5 決定告知の工夫第2部 座談会 少年事件の調査・審判の工夫事者主義・公判中心主義の刑事裁判とは異なり,事件係属当初から家庭裁判所において主体的な検討を要する。そして,家庭裁判所は,家裁調査官や付添人とも連携の上で,調査・審判を指揮し,その手続全体を通じて少年の健全育成(少年法 1 条)を目指すべきである。 このように,少年事件の調査・審判において留意すべき事項は幅広く,また,裁判官による個性の違いも多くあることから,本座談会では,当研究会の多数の裁判官が参加するとともに,ゲストとして家裁調査官や付添人経験のある弁護士の参加を得て,調査・審判の工夫やノウハウの共有を試みた。以下では,事件係属当初,調査進行中,審判の各段階に分けて,意見交換を行った。その中でも,調査進行中におけるカンファレンスの在り方や,審判において「少年に対してどう話すか」などの多くの点で,各参加者の具体的な実践例が紹介されている。それらの実践例には,少年の健全育成を目指す姿勢が示されており,少年法の基本的な考え方が現れているといえる。加藤(司会) 本日は少年事件に関心をお持ちの裁判官,調査官,弁護士の方にお集まりいただいて,少年事件の調査・審判における実務上の工夫あるいは考え方について話し合っていきたいと思います。今回は,非行事実に争いのない事件を念頭に置きます。私は司会を務めさせていただく裁判官の加藤です。230第 1 事件係属当初の検討加藤(司会) 配てんされた法律記録が手元に来たときに,裁判官はどのよ

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る