4第1章 遺産分割総論(調停前の協議を含む)常貯金債権及び定期貯金債権につき,「いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることなく,遺産分割の対象となるものと解する」と判示し,最一小判平成29年4月6日裁判集民255号129頁は,定期預金債権及び定期積金債権について,最三小判平成26年2月25日民集68巻2号173頁は,株式,投資信託受益権及び個人向け国債について,最二小判平成26年12月12日裁判集民248号155頁は,投資信託受益権から相続開始後に発生した元本償還金又は利益分配金について,同様に判示した。ウ 遺産分割前に処分された財産 相続開始後,遺産分割前に,遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人が処分した場合,上記⑵イ②の要件を欠くので分割対象の遺産とはならないことになるが,当該共同相続人だけが利得を得てしまい不公平が生じる。 そこで,平成30年民法改正によって,民法906条の2第1項は「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても,共同相続人は,その全員の同意により,当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる」と規定し,従来の判例や実務によって承認されてきた考え方を明文化した。なお,本条は,財産を処分した者が相続人以外の第三者である場合にも適用がある。この場合,第三者に対する損害賠償請求権等を遺産分割の対象とすることができる。 また,民法906条の2第2項は,遺産に属する財産を処分した共同相続人の同意がなくとも,他の共同相続人の同意さえあれば,遺産分割の対象とできることとした。エ 相続債務,相続開始後の葬儀費用や遺産管理費用等 いずれも上記⑵イ④の要件を満たさず,遺産分割の対象とはならない。相続債務につき,最二小判昭和34年6月19日民集13巻6号757頁は「債務者が死亡し,相続人が数人ある場合に,被相続人の金銭債務その他の可分債務は,法律上当然分割され,各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきである」と判示している。 ただし,当事者が協議して一定の合意をすることは可能であるが,当事者の合意があっても審判手続において分割の対象とはならない。ウ 遺産の評価 遺産の評価の基準時は遺産分割時とされている。相続開始時とすると,分
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