は し が きiはしがき 本書は,相続事件につき相談を受けた弁護士のみならず,相続問題に直面したすべての一般の方々にとっても役に立つ書籍となるよう,相続問題を最前線で取り扱う弁護士が集まって執筆した書籍です。 相続は,誰にでも起こり得る問題であるとともに,近しい親族間での問題であることから,一旦こじれ,紛争に発展すると長期化しかねないという特性を持ちます。また,遺産が現預金にとどまらず,有価証券や不動産など多岐にわたる場合は,その存否や評価額の調査にも時間がかかること,不動産や金融資産をお持ちの方が亡くなれば,大きな金額が動くこともあり得ること,更には,誰がどの遺産を取得するか,遺産の評価額をどのように決めるかなどで話し合いがまとまらないなど,様々な争点が混在する事案も少なくないことから,解決まで長期間かかることが珍しくありません。加えて,相続の法分野に関しては,平成30年に大きな改正がなされ,自筆証書遺言の方式,遺言執行者の権限,相続の効力と対抗要件,遺留分制度などにつき大きな改正がなされたほか,預貯金債権の仮払制度,特別寄与料,配偶者居住権,配偶者短期居住権の制度が新設されるなど,内容面でも重要な法改正となっております。 このように,相続は身近な問題でありながら,解決困難な様々な要素を含む問題でもあるため,その解決には高度な専門性が要求されることもあって,一般の方々が,十分な知識と準備なしに,インターネットで調べた情報程度で対応することは,取り返しのつかない大きなリスクとなります。 同じことは法の専門家である弁護士にも当てはまることであり,相続事案につき依頼を受ける弁護士も,法改正や最新の判例を含めた専門知識をしっかりと習得したうえで対応する必要があります。相続の分野は,司法試験において頻出とは言えないこともあり,多くの若手弁護士にとって手薄な分野であることに加え,上記のとおり,近時,法改正がなされたことも相俟って,ベテランの弁護士でも知識がアップデートされておらず,適切な対応ができないという事態も想定されます。また相続の事案では実務におけるプラクティスも非常に重要な位置を占めています。相続に関する紛争は調停前置主
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