第1編 寄附行為施行細則の逐条解説24(理事の責務)第31条 理事は、法令、寄附行為及びこの法人が定める諸規程を遵守し、善良な管理者の注意をもって職務を遂行しなければならない。(1) 学校法人と理事の法律関係には委任の規定が適用されるから、理事は学校法人に対して善良な管理者の注意義務を負う(私学法30条4項、民法644条)。本条は、法令を遵守し、寄附行為を含む学内諸規程に従って職務に当たるべきことを注意的に規定するものである。(2) 善良な管理者の注意義務とは、受任者の職業、社会的地位及び経済的地位等から考えて一般に要求される水準で職務を遂行する義務のことをいう(実務135頁)。本条は、理事が善良な管理者の注意義務を負うことを確認するとともに、法令、寄附行為、学校法人が定める諸規程を遵守して職務を遂行することも理事の責務であることを確認するものである。(秘密の保持)第32条 理事は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。理事の職を退いた後も同様とする。(1) 地方公務員法や国家公務員法と異なり、私学法には、学校法人の理事に秘密保持義務を課す旨の規定がない。理事が職務上知り得た秘密を漏らしてはならないことは当然であるが、学内の規程にも明示しておくことが望ましい。本条前段は、理事の秘密保持義務を定めるものである。(2) 理事が退任又は解任となった時点で、理事と学校法人の間の委任関係は終了する。理事の秘密保持義務は委任に基づいて負うものなので、退任又は解任の後は、秘密保持義務を負わないという議論を生じる余地がある。そこで、本条後段において、理事の職を退いた後も秘密保持義務を負い続けることを明確にすることとした。第5節 理事の義務第5節理事の義務第31条(理事の責務)第32条(秘密の保持)
元のページ ../index.html#30