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特定技能制度の実務 入管・労働法令,基本方針,分野別運用方針・要領,上乗せ告示,特定技能運用要領,審査要領

特定技能制度の実務 入管・労働法令,基本方針,分野別運用方針・要領,上乗せ告示,特定技能運用要領,審査要領
著者:
山脇康嗣/著 
判型:
A5判
ページ数:
884頁
発刊年月:
2020年5月
定価:
9,020円 (税込)
ISBN/ISSN:
978-4-8178-4646-4
商品コード:
40815
略号:
特技
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商品情報

パンフレットPDF


複雑難解な実務運用を網羅!
平成30年入管法改正(平成31年4月1日施行)に対応

●分野横断的かつ重層的理解が可能となる実務必携書。入管法と労働法が交錯する接点についても徹底解説。働き方改革法にも対応。
●弁護士,行政書士,社会保険労務士,特定技能外国人の受入企業,登録支援機関,職業紹介事業者等の実務に必要な情報を完全網羅。


著者略歴

山脇 康嗣(やまわき こうじ)

さくら共同法律事務所パートナー弁護士
昭和52年大阪府生まれ
慶應義塾大学法学部法律学科卒業
慶應義塾大学大学院法務研究科専門職学位課程修了
東京入国管理局長承認入国在留審査関係申請取次行政書士を経て、弁護士登録
現在、慶應義塾大学大学院法務研究科非常勤講師(入管法)、同研究科グローバル法研究所(KEIGLAD)客員所員、第二東京弁護士会国際委員会副委員長、日本弁護士連合会人権擁護委員会特別委嘱委員(出入国在留管理庁との定期協議担当)、日本行政書士会連合会法律顧問
外国人に関係する企業(監理団体、登録支援機関及び日本語学校を含む。)及び入管業務・技能実習業務を手掛ける行政書士・弁護士の顧問並びに監理団体の外部監査人を多数務める。

<主著>
『〔新版〕詳説 入管法の実務』(新日本法規、平成29年)―単著
『技能実習法の実務』(日本加除出版、平成29年)―単著
『入管法判例分析』(日本加除出版、平成25年)―単著
『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規、平成24年)―編集代表・執筆
『外国人及び外国企業の税務の基礎—居住者・非居住者の税務と株式会社・合同会社・支店の税務における重要制度の趣旨からの解説—』(日本加除出版、平成27年)―共編著
『事例式民事渉外の実務』(新日本法規、平成14年)―分担執筆
『こんなときどうする外国人の入国・在留・雇用Q&A』(第一法規、平成4年)―分担執筆
「実務家からみた平成30年入管法改正に対する評価と今後の課題」季刊労働法265号
「入管法及び技能実習法の実務と今後の課題」季刊労働法262号
「一体的に進む外国人の受入基準緩和と管理強化」自由と正義2017年6月号


はしがき

 本書は、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(平成30年法律第102号)によって創設された特定技能制度を詳説したものです。同制度に関わる入管・労働法令、基本方針、分野別運用方針・要領、上乗せ告示、特定技能運用要領、入国・在留審査要領及び現在までの実務運用を網羅しています。
 特定技能制度に係る入管法の条文自体は、短い立法期間であったにもかかわらず、技能実習制度におけるのと同様の問題の発生を防ぐという観点から、精緻に作り込まれていると評価できます。出入国在留管理庁が十分な執行力(十分な人員及び予算)をもってこの条文を適用し、「一罰百戒」ではなく「百罰百戒」の姿勢で、厳正な審査及び違反者への徹底的な摘発を行えば、重大な問題が多数発生することはないと考えられます。ただ、精緻である分、非常に複雑難解な制度でもあり、弁護士、行政書士及び社会保険労務士等の法律専門家が、特定技能所属機関や登録支援機関等にわかりやすく助言、指導等を行う必要性が高いです。
在留資格「特定技能」の在留資格該当性として、契約適合性及び受入機関適合性等に係る多くの基準を満たす必要があり、それらの基準を1つでも満たさない状態での特定技能外国人の就労は、不法就労です。契約適合性として、特定技能雇用契約が労働法に適合していることが求められ、受入機関適合性として、特定技能所属機関が労働法や技能実習法を遵守していることが求められます。入管法制の中に労働法的な規制が多く盛り込まれている分野横断的規制が、特定技能制度の特徴です。従って、法律専門家が特定技能外国人の受入れに関与する場合には、入管法に係る知識のみでは足りず、労働法及び技能実習法を含めた分野横断的かつ重層的な理解が不可欠です。従前、法律実務家において、入管法、技能実習法及び労働法の分野横断的かつ重層的な理解が軽視されてきたきらいがあったことを踏まえ、本書は、それらの各法の接点を強く意識して執筆しました。もっとも、特定技能制度に係る入管法と労働法が交錯する接点といえる事項の多くが、これまで労働法学の研究者の先生の誰も論じておらず、また、入管法を所管する出入国在留管理庁も労働法を所管する厚生労働省も行政見解を示していないものであるため、解釈を提示することにかなり苦労しました。入管法は業際的な法律であるところ、憲法学、行政法学、国際人権法学及び労働法学等の知見に基づき多角的な観点から研究を進めつつ、外国人法制に関わる研究者と実務家が広く結集し、例えば「外国人法」というような名称の1つの独立した法学問分野としても扱うべき時代にさしかかっていると考えます。大学等における常設の講座の開設や学会の設立が求められます。社会的に極めて重要な分野でありながら、法解釈学的な研究が進まず、各法が交錯する無数の論点が「放置」され、埋もれたままとなっているのは、今後、より望ましい制度構築をするにあたって支障となることは明らかであり、由々しき事態といえます。本書は、労働法の研究者の先生に対し、実務的観点から、特定技能制度に係る入管法と労働法の接点に係る問題の所在をお伝えするという意図もあります。
 ところで、私は、平成29年に出版した『技能実習法の実務』のはしがきにおいて、次のように述べました。即ち、「これまでの出入国管理法制下においては、一定程度以上の専門性がないと評価されるため受入れが認められてこなかった人材であっても、今後は、真に必要性が認められる限りは、受け入れる方向に進むことになると思われます。そして、その際の受入れの枠組みは、技能実習法に準じた制度となるか、あるいは、技能実習法に基づく技能実習を修了したこと等が前提となると見込まれます。」と述べました。特定技能制度はまさにその私の見込みのとおりの制度となったわけです。私は、技能実習制度に関して、現時点においては、外国人技能実習機構、出入国在留管理庁及び厚生労働省による執行力の大幅な強化に重点を置くべきであり、「技能実習制度それ自体の即時廃止」は必要性も相当性もないと考えています。しかし、技能実習制度において、構造的要因に基づくものを含め、種々の問題が発生していることは事実であり、制度を不断に見直さなければなりません。仮に、将来的に、外国人の現業的就労者の受入制度として、特定技能制度と技能実習制度の「発展的統合」あるいはその他の措置(いわゆる雇用許可制や労働許可制の導入等)を検討する場合は、経済社会の安定性や制度関係者に与える影響を含め、非常に慎重で緻密な検証作業が必要です。人の国際移動に係る多面的かつ実証的な検討を行い、我が国の法令のみならず、各送出国及び他の受入国の法制を広く研究した上で、望ましい送出し・受入れのスキームを構築する必要があります。また、実際の制度改正にあたっては、丁寧に現場の意見を聴いて、外国人関連業務を多く行っている弁護士等による法律実務的観点も取り入れた上で、穏健・穏当で、実際に制度として機能する現実的な方向性を志向すべきです。この問題については、左右問わずイデオロギー的で過激な議論に走るのは極めて危険です。
 我が国は、様々な要因により、これから(希望がありつつも、)苦しさを伴う時代を歩まざるを得ないと思われます。そのような状況にあっては、国民各自がそれぞれの役割で最大限の努力をし、オールジャパンで乗り越えるほかありません。外国人関連法制を専門とする法律実務家たる私がまずはできることとして執筆した本書が、特定技能外国人の適法かつ適正な受入れに寄与し、問題の発生を防ぎ、我が国が社会の平穏性、安定性、価値多様性、企業の国際競争力等をバランスよく維持し、なんとか平和で豊かな国であり続けるための一助になることを願っています。

令和2年4月
弁護士 山 脇 康 嗣

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