再生可能エネルギービジネスの法律と実務

本体 ¥ 4,200
¥ 4,620 税込

著者:水上貴央/著
判型:A5判
ページ数:492頁
発刊年月:2016年6月刊
ISBN/ISSN:9784817843166
商品番号:40633
略号:再エネ

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商品情報



再エネ事業に関わる、法律実務の流れを一冊に!
ビジネスに携わる際の必読書!

●再エネビジネスに関係する制度の理解から、事業設計における個別論点の解説、持続的な発展の
ための課題と提言までがまとまった、再エネビジネスに携わる際に一読しておきたい一冊。
●総論では、再生可能エネルギーと固定価格買取制度の仕組みや事業を巡るリスクなどを解説。
●各論では、事業計画、用地確保、関連法規への対応、担保設定、資金調達、補助金や優遇税制といった、事業設計における個別論点について、実務を意識した解説を展開。
●登記申請書のひな形やモデル契約条項など、実務に役立つ情報も満載!

目次

第1部 総 論~再生可能エネルギーと固定価格買取制度~
第1章 再生可能エネルギー推進の意義
第1 世界的な潮流としての再生可能エネルギー拡大
第2 再生可能エネルギー事業の特性と意義
1 再生可能エネルギーとは何か
2 再生可能エネルギー発電事業拡大の意義
第3 他のエネルギー源との比較と最適構成
1 原子力発電の問題点
2 火力発電との比較
(1)二酸化炭素の排出量によるコスト増加
(2)燃料費の高騰と円安というリスク
3 再生可能エネルギーの長所
(1)自然災害等に伴う事故によって生じ得る最大規模の損害
(2)環境影響が小さい
4 再生可能エネルギーの短所
(1)コストが割高である点
(2)太陽光発電、風力発電については出力が不安定である点
(3)その他の環境影響
5 適切なエネルギーミックスが重要
第4 固定価格買取制度の政策目的

第2章 固定価格買取制度の制度趣旨
第1 固定価格買取制度とは何か?
第2 固定価格買取制度の概観
1 求められる再生可能エネルギー支援政策の内容
(1)これまでの支援政策
(2)支援政策に求められる要件
2 固定価格買取制度の本質的意義
(1)制度に必須の要素1 ─事業収益の予見性確保
(2)制度に必須の要素2 ─相当利益の安定性
3 再エネ特措法の規定
4 再エネ特措法の構造(平成28年改正前)
5 各条項の意義と内容(平成28年改正前)
(1)法の目的(1条)
(2)再エネ特措法の対象となる発電方法(2条4項各号)
(3)再エネ特措法の対象となる設備(2条3項)
(4)調達価格等の決定(3条1項)
(5)電力会社が売電契約に応じる義務(4条1項)
(6)電力会社の接続義務(5条1項)  36
(7)例外的に接続が拒絶される事情(5条1項各号)
第3 再エネ特措法改正の動き
1 固定価格買取制度の本質を揺るがす法改正
2 実質的な再生可能エネルギーの優先接続義務が失われる
(1)現行法における接続義務
(2)改正法では第5条が削除される
3 入札制度の導入で通常の買取りが大きく抑制される
4 運用面を含めた詳細制度の詰めが必要

第3章 再エネ事業と地域貢献
第1 再生可能エネルギー発電事業者は地域貢献すべきか
1 ラーメン店との比較
2 本来の趣旨に照らせば地域貢献を志向すべき
3 投資振興政策としての固定価格買取制度
4 買取価格の適切な調整が必要
5 買取価格の多様化の是非
(1)事業規模と買取価格
(2)制度趣旨と買取価格
(3)買取価格による政策誘導
第2 事業者に期待される公共的役割
1 地域主体の主体的関与が重要
2 地域主導型から地域貢献型へ
3 利益還元による地域貢献
(1)市民ファンドによる利益還元
(2)自治体や地域基金への寄付
(3)地域貢献事業の実施
4 地域貢献のための3つの承認
(1)出資者の承認
(2)公共の承認
(3)地域の承認
(4)地域内での拡大再生産

第4章 再生可能エネルギー発電事業の特徴
第1 再生可能エネルギー発電事業の特徴
1 設備投資型の産業であること
2 長期的な事業であること
3 保守・メンテナンスを継続する必要があること
4 土地の利用権確保が重要であること
5 許認可等が必要となる場面が多く想定されること
第2 固定価格買取制度下の事業の特徴
1 売電収入が固定されていること
2 事業開始時の買取価格が低減していくこと
3 事後的な価格競争は発生しないこと
4 インフレが事業リスクとなること
第3 発電種別による3つの事業レベル
1 レベル1 ──太陽光発電
2 レベル2 ──風力発電、水力発電、地熱発電
3 レベル3 ──バイオマス発電
第4 レベル2 に挑戦できる事業者が増えるかがポイント
第5 収益特性とプレーヤー
1 事業開発者、仲介者
2 発電事業の保有者
3 建設工事等の建設事業者、発電設備等のメーカー、保守メン
テナンス等のサービス事業者
4 金融機関
5 長期&ストックの利益を市民に

第5章 再エネ事業を巡るリスク
第1 資産毀損のリスク
1 外部環境リスク:自然災害のリスク
2 制御可能リスク:盗難等の犯罪リスク
第2 収入減少のリスク
1 外部環境リスク:制度変更のリスク
2 制御可能リスク:発電量見込み量と実績が乖離するリスク
3 市場競争リスクは存在しない
第3 支出増大のリスク
1 外部環境リスク:インフレのリスク
2 制御可能リスク:事業経営リスク
第4 バイオマス発電における原材料調達リスク
第5 3 つの事業経営リスク
1 事業運営能力に伴うリスク
2 契約法務のリスク
3 統治構造上のリスク

第2部 各 論~事業設計における個別論点~
第6章 事業計画の立案と精査
第1 事業計画の立案
1 事業の目的・コンセプト
(1)利益の追求という目的も多様  
(2)やりたい地域貢献とは何か  
2 事業主体
(1)コンセプトに応じた体制構築
(2)事業実施の法的主体
3 資金構成とガバナンス
(1)資金構成
(2)スポンサー会社からの独立
4 事業計画
(1)発電種別と事業規模
(2)初期投資と運営費用
5 資金計画(キャッシュフロー計算書)
第2 事業計画の精査
1 関連許認可の洗い出し
2 交渉対象と内容の明確化
3 実施スケジュールの立案
4 準備経費の算出と調達

第7章 事業用地の確保
第1 事業用地の選定と権利関係の確認
1 事業用地の選定
2 確認すべき権利関係
(1)事業用地の所有関係の確認 
(2)事業用地の用途等の確認 
(3)近隣関係、利害関係者の確認 
(4)各権利者・関係者との具体的調整と合意書面の作成
第2 賃借権、地上権による利用権設定を巡る法律問題
1 設定する権利による差異
(1)所有権の取得 
(2)地上権と賃借権の違い
2 民法上の賃貸借契約の課題と対応方法
(1)民法上の土地賃貸借期間の問題
(2) 2 つの契約に分けるという対応
(3)買取期間終了後の撤去期間の扱い
(4)地上権設定による長期契約の実現
(5)地上権設定契約の課題
(4)対抗要件と登記の問題
3 屋根借り太陽光発電の場合の問題
(1)屋根借りモデルとは
(2)借地借家法は適用外
(3)民法上の対抗要件も具備できない
(4)実務上の扱い
(5)対抗要件具備の方法がないことの弊害
(6)屋根を建物の一部と認めるべき
(7)契約面での対応
4 屋根貸しモデル契約書
(1)契約期間について 
(2)賃料について
(3)耐震性等の建物の安全性について
(4)契約期間中の大規模修繕等への対応
(5)建物所有者または第三者に損害が生じた場合の対応
(6)権利義務譲渡の制限 
(7)金融機関の担保設定との関係
(8)不可抗力事由への対応 
(9)非常用電源としての使用 
(10)契約終了時の取扱い
5 契約による事前合意が極めて重要

第8章 重要な関連法規等への対応
第1 発電種別ごとに考慮すべき関連法規の全体像
1 関連法規と規制の全体像
2 開発規模による規制
3 立地の特性による規制
4 建設段階に関わる規制
5 電気事業法の一般的規制
(1)自家用電気工作物となる場合
(2)一般用電気工作物となる場合
6 特定の発電種別に特に関わる規制
第2 設備認定
1 設備認定 173
(1)設備認定の意義
(2)平成28年の再エネ特措法改正による影響
(3)事業開発の安定性とのバランスが必要
2 設備認定手続の流れ
3 申請書
(1)メーカー等の記載
(2)設備認定後のメーカーや発電出力の変更
4 買取価格の決定
(1)買取価格の決定時期
(2)買取価格の変更
5 事業開発中の買取価格の変更
6 標準処理期間の変更
7 設備認定の失効
(1)失効条件の解除に係る手続  
(2)失効期限の延長に係る手続  
(3)平成28年の法改正後の対応  
第3 農地転用
1 農地転用制度の概要
2 農地の種類 186
3 具体的な農地転用の手続
(1)農地面積4 ha以下の場合  
(2)農地面積4 ha超えの場合  
(3)市街化区域内農地の場合  
4 農地転用申請における添付書類等
5 農地転用が認められた場合の事後手続など
(1)農地転用事務の標準的な事務処理期間
(2)農地転用後の登記申請等 
(3)固定資産税 
6 農地転用における留意点
(1)農地転用前の地上権設定 
(2)農地転用後の転売が明らかに予定されている場合
(3)農地転用完了前の工事開始
7 農地転用の取消し
(1)取消事由 
第4 水利権の設定
1 水利権とは
(1)許可手続と処分権者  
(2)許可手続の簡素化  
(3)従属発電についての届出制
2 権利の安定性による分類
(1)安定水利権 
(2)豊水水利権 
(3)暫定豊水水利権 
3 水利使用規則
(1)目 的 
(2)占用の場所 
(3)占用の方法
(4)取水量・流水の貯留量
(5)許可期間
(6)制約事項
4 水利権調整
(1)実質的な既得利用者優先
(2)水利権者との調整
第5 環境アセスメント
1 環境アセスメント(環境影響評価)の概要
(1)環境アセスメントとは
(2)環境影響評価法
(3)条例による環境アセスメント 
2 環境アセスメントの手続
(1)環境アセスメントの標準的な手順
(2)環境アセスメントにおいて作成される図書
(3)第2 種事業の判定(スクリーニング)
(4)環境アセスメントはコミュニケーションツール 

第9章 金融機関融資と担保設定
第1 資金調達が一番のハードル
1 資金調達能力における事業主体の偏り
2 地域金融機関にとっての地域再生可能エネルギー発電事業
3 金融機関における融資のハードル
第2 清算価値から継続価値へ
1 清算価値重視の融資判断
2 再エネ事業の清算価値
3「 継続価値」とは何か
4 継続価値の担保化
第3 具体的な資金調達プロセスとそのポイント
1 事業の全体像を把握する
2 将来債権譲渡担保の活用
(1)将来債権譲渡担保の設定範囲と設定時の留意点  
(2)事業譲渡や倒産手続における問題  
3 事業継続を確保するその他の担保設定
(1)発電設備や事業用地等への担保権設定  
(2)工場抵当  
(3)工場財団抵当  
(4)ウォーターフォール口座等の設定  
(5)その他の担保設定  
4 事業継続のための地位移転と事業介入
(1)移転すべき地位とその内容  
(2)必要となる事業介入(ステップイン)  
第4 金融機関による経営監視と非支配株主保護
1 単なる貸し手を超えた機能
2 地域貢献の実現に向けた金融機関の役割
3 地域創生と地域金融

第10章 市民ファンド等による資金調達
第1 リスク資金による調達の重要性
1「 リスク資金=資本金」ではない
2 リスク資金となり得る資金形態
(1)新株の発行  
(2)匿名組合出資・有限責任事業組合 
(3)メザニンローン、社債  
(4)保証契約  
第2 市民ファンドによる資金調達
1 市民ファンドの必要性
2 市民ファンドとその内容
3 市民ファンドと金融商品取引法
(1)広告等の規制  
(2)出資金の分別管理  
(3)禁止行為  
(4)適合性の原則  
(5)その他  
4 市民ファンドに関するその他の法律
5 市民ファンドの組成
(1)第二種金融商品取引業者登録  
(2)募集前準備について  
(3)募集、契約、運用  
6 疑似私募債方式の活用
7 寄付による事業開発
8 資金調達の便宜と投資家保護のバランス
第3 信託方式を活用した資金調達
1 信託の一般的価値と更なる可能性
2 再生可能エネルギー発電事業運営の透明化による信用力向上
3 ポートフォリオ型の市民ファンド
4 地域貢献可能な再生可能エネルギー発電事業を実現する
5 メガソーラーを地域貢献型再エネ事業に転換する
6 屋根上太陽光発電等への応用

第11章 補助金や基金、優遇税制の活用
第1 補助金等の活用
1 固定価格買取制度の原則は、補助金等の支援策との併用不可
2 補助制度の活用
(1)自家消費型の再生可能エネルギー補助制度  
(2)固定価格買取制度との併用可能な補助制度(特例型)  
3 補助事業を活用するポイント
(1)審査書類の内容  
(2)補助対象経費  
(3)複数見積り  
(4)利益排除  
(5)契約時期と支払時期  
4 圧縮記帳
第2 公的基金等の活用
1 グリーンファンド
2 地域応援出資
第3 グリーン投資減税の活用
1 特別償却
2 即時償却の意義
3 特別償却、即時償却の合理性
4 税額控除
5 生産性向上設備投資促進税制
6 今後の税制優遇の方向性

第3部 課題と提言~地域に根差した持続的な発展を目指して~
第12章 制度開始後の現状と課題
第1 制度開始後の現状
1 太陽光発電の急激な拡大
2 太陽光発電事業の魅力と流通業態の誕生
3 太陽光発電大幅導入による問題
4 賦課金の負担
第2 太陽光発電の大量導入と接続保留
第3 50kW太陽光発電の分割問題
1 低圧案件への優遇措置の悪用
2 過去の低圧案件の転売
3 新制度の黎明期による混乱

第13章 これまでの制度変更~趣旨と事業への影響~
第1 出力抑制のルール
1 再エネ特措法第5 条第1 項(平成28年改正前)
2 再エネ特措法施行規則第6 条第1 項第1 号及び第2 号(現行法)
3 再エネ特措法施行規則第6 条第1 項第3 号イ(現行法)
4 出力抑制ルールの変更
第2 接続保留と指定電気事業者制度
1 接続保留とその問題点
2 指定電気事業者制度の活用
(1)指定電気事業者とは  
(2)無制限・無補償の出力抑制の意味  
(3)30日間分を超える出力抑制については金銭補償を行うべき  

第14章 安定的普及のための制度的担保
第1  地域貢献型再生可能エネルギー事業を育てるには公共の支援が不可欠8
1 最大の問題は信用力の強化
2 地域貢献を目指す事業者への支援が必要
第2 信用力支援の基本方針
1 金融面での支援
2 情報面での支援
3 事業収支面での支援
(1)補助金の交付  
(2)税制優遇  
(3)買取価格の柔軟化  
第3 信用力支援6 つの方策
1 地域貢献の費用計上
2 地域貢献を後押しする事業体の設計
3 政府系ファンド等による出資・融資
(1)金融機関からの資金調達には一定以上の自己資本が必要  
(2)政府系基金等による優先株出資  
(3)優先株出資のメリット  
(4)金融機関と市民ファンドの間を結ぶ役割  
4 収益納付型補助事業
5 固定資産税の減免
6 行政の公証によるお墨付き

第15章 地域創生と条例制定
第1 地域視点での再生可能エネルギー推進
第2 地域課題の解決と再生可能エネルギー
1 事業実施による地域への寄与
2 事業収益の活用による地域への寄与
第3 政策パッケージの中核となる再生可能エネルギー推進条例
1 総合的な支援の実現には条例が必要
2 飯田市地域環境権条例
(1)条例制定の背景  
(2)飯田市地域環境権条例の骨格と地域環境権  
(3)地域環境権の意味  
(4)本条例が規定する支援施策  
(5)審査会による審査と認証機能  
(6)基金を通じた再エネ推進資金の拡大再生産  
(7)再エネを利用した地域づくり全体への政策パッケージ
(8)他地域への示唆 
(9)人材・情報・資金のハブ機能  
第4 地域創生のための鍵

補論 改正再エネ特措法の概要
第1 第190回国会における法改正
1 改正に至る背景
2 法改正の概要
第2 主要な改正条項
1 制度目的については変更されていない( 1 条)
2「 特定契約」の内容が変更になった( 2 条)
3「 複数年の買取価格」と「価格目標」が設定された( 3 条)
4 入札制度が規定された( 4 条~ 8 条)
(1)入札実施の要件と入札実施指針( 4 条・5 条)  
(2)入札の実施と調達価格  
5 新たな認定制度として事業認定制度が定められた( 9 条~15条)
(1)事業の認定基準  
(2)指導・助言・改善命令、認定取消し
6 電気事業者の義務が変更された
(1)一般送配電事業と特定送配電事業
(2)電気事業者の義務
(3)送配電事業者の禁止規定 
(4)小売り電気事業者等の努力義務 
7 その他の条項
第3 本改正法のポイントと今後詰められるべき論点
1 事業認定制度の導入による実質的な設備認定の失効について
2 接続義務が再エネ特措法から削除された影響
3 入札制度の具体的運用
4 施行規則等の確認が不可欠

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