証明軽減論と武器対等の原則

要件事実論批判・証明責任分配論と共に
本体 ¥ 7,500
¥ 8,250 税込

著者:松本博之/著
判型:A5判上製
ページ数:432頁
発刊年月:2017年7月刊
ISBN/ISSN:978-4-8178-4407-1
商品コード:40683
略号:証責

商品情報




【研究者・実務家必読の書!】

民事訴訟における当事者間の武器対等の原則の観点から
証明軽減(証明度の引下げ・表見証明・証明妨害)を論じる意欲作!
併せて、証明責任の分配と「要件事実論」の関係についても詳論し、「要件事実論」の問題点を指摘

要件事実論批判を掲げた、これまでにない一冊
当事者間の武器対等の原則の実現を図るための方途とは?
民訴法学を長年研究してきた著者による証拠法論

目次

序章 事実認定における当事者の武器対等の原則と証明軽減

第1編 自由心証主義、証明度および証明責任の分配
第1章 民事証拠法の領域における武器対等の原則
 第1節 民事証拠法における武器対等の原則
 第1款 はじめに
 第2款 ドイツにおける判例の発展
  1 連邦憲法裁判所の判例
  2 連邦通常裁判所の判例
 第3款 民事証拠法における実質的武器対等の原則
 第4款 新民訴法と武器対等の原則
第2節 現行民訴法による武器対等の原則の実質化とその限界
 第1款 現行民訴法による武器対等の原則の実質化
  1 文書提出義務の一般義務化
  2 当事者照会制度の新設
第2款 現行民訴法の限界
  1 記録作成・保存義務
  2 身体検査受忍義務・血液鑑定受忍義務
  3 公務秘密文書の取扱い
第3節 証明責任を負わない当事者の具体的事実陳述=証拠提出義務
 第1款 意義
 第2款 実務
 第3款 学説の対応
第4節 証明度と武器対等の原則
 第1款 証明度問題
 第2款 原則的証明度
  1 証明
  2 必要な蓋然性の程度
  3 優越的蓋然性説の問題点
 第3款 例外的証明度
 第4款 証明妨害の捉え方
第5節 おわりに

第2章 環境民事訴訟における証明問題
第1節 はじめに
 第1款 法状態
 第2款 環境汚染による被害,とくに人身被害の特徴
 第3款 環境民事訴訟と環境保護
 第4款 事案の解明の困難と本章の目的
第2節 環境民事訴訟における証明責任の分配
 第1款 損害賠償請求権の成立要件と証明責任
 第2款 差止請求権の成立要件と証明責任
第3節 環境民事訴訟における証明軽減と証明度
 第1款 証明軽減の必要性
 第2款 証明度の問題
  1 証明度
  2 事実確定に必要な証明度――統一的証明度か,段階的証明度か
  (1) 法律による段階的証明度
  (2) 原則的証明度としての蓋然性説の問題点
  3 判例の立場
 第3款 環境・公害訴訟における蓋然性説の再検討,例外的証明度?
   1 環境・公害訴訟における蓋然性説
   2 当事者間の武器対等の確保と実体法規の規範目的の実現
 第4款 因果関係概念の細分化
  1 適性因果関係
  2 起点因果関係 (排出の因果関係)
  3 基本因果関係
 第5款 証明妨害
 第6款 原因者複数の場合における因果関係の証明
第4節 環境民事訴訟における情報取得の改善
 第1款 情報取得方法の改善のための立法上の措置
 第2款 当事者照会
 第3款 文書提出義務の一般義務化
 第4款 証明責任を負わない当事者の具体的事実陳述=証拠提出義務
第5節 要約

第3章 情報・証拠の偏在と証明責任の分配および証明軽減の必要性
    ―製造物責任訴訟と消費者契約法9条1号を中心に―
第1節 はじめに
第2節 製造物責任訴訟における損害,欠陥および欠陥と損害との間の因果関係の証明責任
 第1款 はじめに
 第2款 欠陥の主張と証明
 第3款 因果関係の主張と証明
第3節 消費者契約法と証明問題
 第1款 消費者契約法9条1号
 第2款 主張=証明責任の分配
第4節 消費者訴訟における情報・証拠の偏在とその対策
 第1款 事実上の推定/一応の推定/表見証明
 第2款 証明度の軽減
 第3款 訴訟資料・証拠方法の収集に関する問題点
  1 製造物の欠陥に関する苦情・情報の開示の必要性
  2 公的機関による原因究明の必要性
 第4款 証明責任を負わない当事者の具体的事実陳述=証拠提出義務
  1 具体的事実陳述=証拠提出義務の要件と効果
  2 製造物責任訴訟における適用
  3 消費者契約法9条1号における適用
第5節 おわりに

第4章 事実認定における「経験則違背の上告可能性」と審理を尽くすべき裁判所の義務
第1節 問題の所在
 第1款 経験則
 第2款 経験則の作用と上告
 第3款 自由心証主義
第2節 判例の概観
 第1款 はじめに
 第2款 経験則違背の類型
  1 はじめに
  2 経験則上不可能な結果
  3 審理不尽または判断遺脱を招く場合
  4 適正な釈明権の不行使を惹起した場合
  5 事実上の推定
第3節 学説の概観
 第1款 否定説
 第2款 法規範説
 第3款 民訴法247条(ZPO 286条)違反説
第4節 経験則と自由心証主義
 第1款 自由心証主義と論理法則・経験則
 第2款 窮尽原則と経験則の顧慮
  1 窮尽原則と経験則の関係
  2 実体法違背か、手続違背か
 第3款 論理法則の違背
  1 裁判官の論理法則顧慮義務
  2 論理法則と自由心証主義
  3 実体法違背か、手続違背か
 第4款 自然科学の法則と自由心証主義
  1 自然科学の法則
  2 自然科学の法則違背と上告審の審査
 第5款 一応の推定または表見証明
  1 一般的生活経験と経験則の強度
  2 経験則の適用と上告審
  3 一応の推定、表見証明
第5節 最高裁判所への上告と経験則違背の上告可能性
 第1款 最高裁判所への上告制限
 第2款 最高裁判所への上告受理申立てと経験則違背
 第3款 審理を尽くすべき義務違反と手続瑕疵
第6節 結びに代えて

第5章 損害賠償請求における因果関係の立証に関する一考察――自由心証と証明責任の交錯――
第1節 はじめに
 第1款 因果関係の証明問題
 第2款 事実的因果関係と相当因果関係
 第3款 本章の課題
第2節 事実的(自然的)因果関係の証明とその証明度
 第1款 証明軽減の必要性
 第2款 間接反証
 第3款 個別的表見証明
 第4款 東大病院ルンバール事件最高裁判決
第3節 被告の義務違反の挙動と損害結果との間の因果関係の証明
 第1款 はじめに
 第2款 比較法
  1 ドイツ法
  (1) 医師その他他人の生命身体に対して危険の及ぶことを防止する職業上の義務(Berufspflicht)を負う者の義務違反
  (2) 事故防止規定の違反と因果関係の立証
  (3) BGB 618条の保護義務違反の場合の証明責任
  (4) 不作為と結果発生との間の因果関係
  2 スイス法
  3 コモンロー
  (1) 「事実上の因果関係」と「近い原因」
  (2) 「実質的要因のルール」
  (3) 使用者の安全措置義務
  4 外国法における因果関係の立証問題の特徴
第4節 おわりに

第6章 過怠約款と執行文
第1節 過怠約款の意義と本章の課題
 第1款 和解調書・調停調書・執行証書等における過怠約款の利用
 第2款 本章の課題
第2節 執行文の付与をめぐる判例と学説
 第1款 旧法下の判例
  (1) 下級審の裁判例
  (2) 最判昭和41年12月15日民集20巻10号2089頁
  (3) 最判昭和43年2月20日民集22巻2号236頁
 第2款 旧法下の学説
 第3款 民執法下の判例と学説
  1 民執法173条3項類推適用説の登場
  2 民執法173条3項類推適用説の問題点
 第4款 過怠約款の意味・目的
 第5款 私見
第3節 執行文の付与に対する債務者の救済方法
第4節 おわりに

第7章 民事保全における疎明責任とその分配
第1節 訴訟要件と保全要件
 第1款 訴訟要件
 第2款 訴訟要件と疎明
 第3款 実体要件の疎明
第2節 疎明
 第1款 疎明の意義
 第2款 疎明方法
 第3款 疎明の即時性
 第4款 保証金の供託または宣誓の排除
 第5款 疎明を要する事実
  1 公知の事実,裁判所が職務上知りえた事実,および法律上推定される事実
  2 裁判上の自白および擬制自白
 第6款 証拠評価
 第7款 反証と反対事実の疎明
第3節 民事保全における主張=疎明責任の分配
 第1款 証明責任の分配
 第2款 民事保全手続における疎明責任の分配
 第3款 学説の対立
 第4款 証明責任分配原則の適用肯定説の理由づけ
 第5款 申立人の主張=疎明責任拡張説
 第6款 折衷説
 第7款 場合分け説
 第8款 検討と私見

第8章 証拠法判例批評
第1節 ケース研究・医療過誤
 第1款 はじめに
 第2款 ある判例のケース――東大病院ルンバール事件
  1 事実関係
  2 最高裁判所の判断
 第3款 因果関係とその確定
  1 因果関係の意義
  2 因果関係の証明
  3 最高裁判決の問題点
第2節 民訴法197条1項3号所定の「技術又は職業の秘密」の意義
 第1款 決定のポイント
 第2款 事案
 第3款 決定の要旨
 第4款 先例・学説
  1 文書提出命令の申立ての必要性についての判断と独立の不服申立ての可否
  2 「技術又は職業の秘密」の意義
 第5款 評論
  1 判旨第1点
  2 訴訟における技術または職業の秘密の保護
 3 自己利用文書性の判断基準
第3節 報道関係者の取材源に関する証言拒絶権
 第1款 事実
 第2款 決定要旨:抗告棄却
 第3款 解説
  1 本決定の意義
  2 要保護性に関する比較考量説の問題点
第4節 監査調書に対する文書提出命令
 第1款 事実
 第2款 判旨
 第3款 評釈
  1 はじめに
  2 本件文書提出命令の申立てにおける文書の特定(判旨第1点)について
  3 文書の一部提出命令(判旨第4点)について
  4 職業の秘密(民訴法220条4号ロ、197条1項3号)(判旨第3点)について
第5節 調査委員会の作成した調査報告書の提出命令
 第1款 事実
 第2款 決定要旨:抗告棄却
 第3款 評釈
  1 各種の調査報告書を目的とする文書提出命令
  2 自己利用文書
  3 民訴法197条1項2号所定の「黙秘すべきもの」の意義
  4 証明責任を負わない当事者の具体的事実陳述義務との関連
第6節 金融機関の顧客の財務情報が記載された文書の提出命令
 第1款 事実
 第2款 決定要旨:棄却
  1 本件非公開財務情報部分の提出義務について
  2 本件分析評価情報部分の提出義務について
  3 民訴法223条6項の手続について
 第3款 評釈
 1 本決定の意義
 2 職業の秘密の概念
 3 職業の秘密の保護と比較考量説の問題性
 第4款 証明責任を負わない当事者の具体的事実陳述義務を含めた検討の必要性
 第5款 インカメラ手続と許可抗告審
第7節 携帯電話機による低温やけどと電話機の製造業者の損害賠償責任
 第1款 事案の概要
 第2款 判旨
  1 争点1――本件熱傷は本件携帯電話に起因するか
  2 争点2――欠陥ないし過失の有無について
  3 争点4――損害額のうち調査費用
 第3款 分析
  1 本判決の意義
  2 製造物の欠陥の主張・証明
 第4款 若干の検討
  1 間接証明および証明度の問題
  2 調査費用の賠償請求

第2編 要件事実論批判
第1章 要件事実論と法学教育――要件事実論批判を中心に――
第1節 はじめに
第2節 「要件事実論」の問題点
 第1款 「要件事実」の意味
 第2款 要件事実の可分・不可分
  1 要件事実論者の主張
  2 法律行為と停止条件・停止期限は可分か
  3 本人としての法律行為と代理人としての法律行為
 第3款 「要件事実論」の展開
  1 司法研修所の「要件事実論」
  2 伊藤滋夫の「裁判規範としての民法」の構成
 第4款 消極的事実の証明責任
 第5款 証明責任規範の否定
 第6款 主張責任の分配と証明責任の分配との例外なき一致
  1 「要件事実論者」の主張
  2 主張責任と証明責任の例外的分離
 第7款 いわゆるaプラスb
 第8款 一応のまとめ
第3節 証明責任の分配と「要件事実論」
 第1款 はじめに
 第2款 表示表見代理
 第3款 いわゆる代理権消滅後の表見代理
 第4款 虚偽表示と善意の第三者
 第5款 所有権に基づく動産返還請求
 第6款 所有権に基づく不動産明渡請求訴訟
  1 要件事実論者の主張内容と問題点
  2 「要件事実論」による証明責任分配に対する批判
 第7款 所有権移転登記抹消請求または真正名義回復のための所有権移転登記請求
 第8款 評価根拠事実と評価障害事実
  1 規範的法律要件要素についての証明責任
  2 評価根拠事実と評価障害事実の区別による証明責任の分配に対する批判
 第9款 一応のまとめ
第4節「要件事実論」と訴訟の遅延
 第1款 要件事実論による訴訟の遅延
  1 動産返還請求訴訟
  2 所有権に基づく建物収去土地明渡請求訴訟
  3 「要件事実」の割り振りと訴訟の遅滞
 第2款 司法研修所の民事弁護修習
第5節 「要件事実論」と法科大学院における法曹養成教育
 第1款 はじめに
 第2款 「要件事実論」は法学教育の方法・内容として適切か
 第3款 訴訟物理論との関係
 第4款 社会の国際化との関係
第6節 結語

第2章 法科大学院と民事実務教育
第1節 はじめに
第2節 「要件事実論」
 第1款 意義
 第2款 要件事実論に対する種々の疑問
  1 証明責任の分配基準
  2 規範的法律要件についての証明責任
  3 要件事実論と争点の整理
  4 消極的確認の訴え
  5 職権探知主義訴訟と要件事実論
  6 訴訟における事案の解明と「要件事実論」
第3節 訴訟目的論――紛争解決説批判
第4節 訴訟法規の解釈方法としての利益考量論について
 第1款 紛争解決説と機能的解釈
 第2款 利益考量論の問題性
第5節 法科大学院の実務教育はどうあるべきか

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