全訂 司法書士 裁判外和解と司法書士代理の実務

本体 ¥ 3,000
¥ 3,300 税込

著者:八神聖・石谷毅・藤田貴子/著
判型:A5判
ページ数:336頁
発刊年月:2014年12月刊
ISBN/ISSN:9784817842053
商品番号:40364
略号:司代

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商品情報

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裁判外和解、代理の可否がわかる必携書

【推薦のことば(抄)】
日本司法書士会連合会 会長 齋木 賢二

 本書は、日司連の裁判事務推進対策部門等で活躍している主要メンバーが、裁判外の和解代理に焦点を当て、近時の裁判例に関しても分析を施したものである。代理権に関する論点を整理し、判例の分析を行い、規律や倫理にも触れ、判断材料としてQ&Aでも解説しており、実務上有益な書籍となっている。
 本書は、認定司法書士の裁判外和解代理業務に関する良書であり、認定司法書士の業務における判断基準として多くの方に利用され、社会における多くの国民の皆さんに対する十分な法的救済に貢献できることを願う次第である。

【全訂のポイント】
●「債務整理事案における「紛争の目的の価額」について」を章として新設。
●判例分析・解説を充実させ、実務実践的な内容に。

目次

第1 章 司法書士の裁判外和解における代理権等
 第1 はじめに
 第2 司法書士法改正の経緯
 第3 司法書士の裁判外和解の代理権の範囲
  1 簡裁訴訟代理等関係業務の範囲
  (1) 「民事に関する紛争であること」について
  (2) 「簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となる紛争であること」について
  (3) 「紛争の目的の価額が裁判所法第33条第1 項第1 号に定める額(140万円) を超えないものであること」について
  2 簡裁訴訟代理等関係業務と裁判外の和解 
  3 紛争の目的の価額を算定するための「仮の裁判所手続」の設定の必要性 
  4 裁判上の代理権と裁判外の代理権の判断の「 同一基準性」 について(司法書士法3 条1 項6 号と同7 号の同一基準性について)
  (1) 司法書士法3 条1 項6 号と7 号相談の関係 
  (2) 司法書士法3 条1 項6 号と7 号の条文の構成 
  5 仮の裁判所手続の選択基準 
  6 代理権の存在時期 
  7 裁判所法33条1 項1 号の金額( 140万円) を超えた紛争について司法書士が裁判外の和解をした場合の効果 
 第4  訴訟代理権と裁判外の和解代理権の関係
  1  裁判外和解の根拠条項 
  2  訴訟代理権と裁判外の和解代理権の関係 
  (1) 既に訴額140万円の売買代金請求訴訟が簡易裁判所に係属しているときに,その訴訟手続内において下記のような内容の訴訟上の和解を成立させる場合 
  (2) 既に訴額140万円の売買代金請求訴訟が簡易裁判所に係属しているときに,裁判外において下記のような和解を成立させる場合 
  (3) 債権者Xが司法書士に訴額140万円の売買代金請求訴訟を提起する訴訟代理権を付与したが, その訴えを提起する前に, 裁判外において下記のような和解を成立させる場合
  (4) 債権者Xが司法書士に (訴訟代理権は付与せずに) 訴額の140万円の売買代金請求訴訟を仮の裁判所手続とする裁判外の和解代理権のみを付与し, その裁判外の代理権に基づいて, 裁判外において下記のような和解を成立させる場合
  3  訴訟代理権における「 訴額等」 と仮の裁判所手続における「 紛争の目的物の価額」 の算定基準の共通性( 相似性)
  4  訴訟物等以外の権利関係を和解条項の内容とすることの可否 
 第5  司法書士法3 条1 項6 号の裁判上の代理権と同7 号の裁判外の代理権の相互関係
  1  裁判上の代理権に関する司法書士法3 項1 項6 号イからホの各規定の相互関係 
  (1) 司法書士法3 条1 項6 号イからホの各規定の競合適用の可否 
  (2) 地方裁判所に係属する事件と司法書士法3 条1 項6 号の関係 
  2  司法書士法3 条1 項6 号の裁判上の代理権と同7 号の裁判外の代理権の関係 
  (1) 司法書士の裁判上の代理権と裁判外の代理権の相互関係 
  (2) 140万円以下の紛争が地方裁判所以上の裁判所に係属している場合( 控訴等された場合などを含む。) における裁判外の代理の可否について
 第6  司法書士法3 条1 項7 号相談業務 
  1  7 号相談の対象としての「紛争」の特定 
  (1) 簡裁訴訟代理等関係業務と相談業務 
  (2) 簡裁訴訟代理等関係業務の範囲 
  (3) 7 号の相談業務の要件̶「7 号相談」 の対象となる紛争
  2 司法書士法3 条1 項7 号の「 紛争の目的の価額」 とは 
  (1) 紛争の目的の価額
  (2) 紛争の目的の価額の算定 
  (3) 7 号相談の対象としての「 紛争」 の特定( 仮の裁判所手続の設定等)
  (4) 7 号の相談権限の範囲の検討
  3  司法書士法3 条1 項7 号の相談から同5 号の相談への移行の可否 
  (1) 7 号相談と5 号相談 
  (2) 7 号相談から5 号相談へ移行する場合の分類 
  (3) 7 号相談から5 号相談への移行の可否
 第7  司法書士法3 条1 項5 号相談業務 
  1  5 号相談と7 号相談について 
  2  従前から認められている司法書士の相談業務
  (1) 司法書士の相談業務と業務に関する法改正の経緯
  ?  昭和28年3 月28日民事甲第491号民事局長電報回答(昭和28年2月12日金沢地方法務局長照会)
  ?  昭和29年1 月13日民事甲第2553号法務事務次官回答(昭和28年10月26日日本弁護士連合会会長照会)
  ?  昭和29年1 月13日民事甲第2554号法務事務次官回答(昭和28年11月10日熊本弁護士会会長照会) 
  (2) 昭和42年司法書士法改正と業務範囲 
   ■ 弁護士法違反事件( 松山地西条支判昭和52年1月18日判時865号110頁, 判タ351号210頁) 
   ■ 高松訴訟( 高松高判昭和54年6月11日判時946号129頁, 判タ388号57頁)
  (3) 昭和53年法改正と業務範囲 
  (4) 業務範囲ガイドラインについて 
  3  5 号相談の内容と範囲 
  (1) 登記申請代理における5 号相談 
  (2) 裁判所提出書類作成における5 号相談業務 
  4  弁護士法72条・74条との関係 
  (1) 江藤价泰教授の見解 
  (2) 加藤新太郎判事の見解 
  (3) 弁護士法72条の解釈 
  ■ <参考>最決平成22年7 月20日判時2093号161頁 
第2 章 債務整理事案における「 紛争の目的の価額」 について
 第1 債務整理事案における「紛争の目的の価額」
  (1) 「個別額説」と「総額説」
  (2) 「受益額説」と「債権者主張額説」 
  (3) 「個別訴訟物説」と「合算説」 
 第2 各説からの主張の比較検討
 第3 債務に関する司法書士の裁判外の和解代理権の範囲に関する裁判例 
  (1) 神戸訴訟( 神戸地判平成20年11月10日自正60巻11号72頁, THINK 108号別冊67頁) 
  (2) 神戸訴訟控訴審( 大阪高判平成21年10月16日THINK108号別冊303頁) 
  (3) 京都訴訟(京都地判平成20年6 月19日公刊物未搭載) 
  (4) さいたま訴訟(さいたま地判平成21年1 月30日公刊物未搭載) 
  (5) 広島訴訟(広島地福山支判平成24年2 月27日判時2179号66頁)
  (6) 広島訴訟控訴審(広島高判平成24年9 月28日判時2179号66頁) 
  (7) 和歌山訴訟(和歌山地判平成24年3 月13日公刊物未搭載) 
  (8) 和歌山訴訟控訴審(大阪高判平成26年5 月29日公刊物未搭載) 
  (9) 札幌訴訟(札幌高判平成26年2 月27日判タ1399号113頁) 
第3 章 裁判外和解交渉における規律
 第1 はじめに-本章の構成 
 第2 代理権の範囲外行為等の懲戒・注意勧告事例 
  1 懲戒・注意勧告事例の全体 
  2 懲戒事例・注意勧告事例 
  (1) 和解金額を140万円として和解交渉を行った事例 
  (2) 「書類作成者」などの肩書きで和解交渉を行った事例 
  (3) 一部請求により,返還金額を140万円内に収めた事例 
  (4) 「紛争の目的の価額」 につき争いがある場合 
  (5) 報酬の請求のあり方から代理権の範囲外行為と判断された事例 
  3 補論-裁判書類作成関係業務の範囲 
  (1) 問題の視角 
  (2) 高松高判昭和54年6 月11日( 判時946号129頁, 判タ388号57頁)
  (3) 富山地判平成25年9 月10日( 判時2206号111頁) 
  (4) 和歌山地判平成24年3 月13日( 公刊物未搭載) 
  (5) 大阪高判平成26年5 月29日( 公刊物未搭載) 
 第3 依頼者との関係における規律
  1 はじめに 
  2 依頼者とのコミュニケーション 
  (1) カウンセリングの手法 
  (2) 依頼者とのコミュニケーションの重要性 
  (3) 平成17年3 月2 日注意勧告(『月報』 401号97頁)
  (4) 上記注意勧告事例の問題点
  3 説明及び助言並びに報告義務 
  (1) 意義 
  (2) 債務整理事案における説明義務-最判平成25年4 月16日(民集67巻4 号1049頁, 判時2199号17頁, 判タ1393号74頁)
  (3) 認定司法書士の善管注意義務-大阪高判平成26年5 月29日(公刊物未搭載)
 第4 交渉の相手方との関係における規律 
  1 相手方との関係の視点 
  (1) 公正であること 
  (2) ユーザーユニオン事件 
  (3) 津地判平成15年2 月28日( 判タ1124号188頁) 
  (4) 東京高判平成元年4 月27日判決( 判タ710号129頁) 
  (5) 東京地判昭和63年5 月25日( 判タ680号187頁) 
  2 相手方に代理人がいない場合の行動基準 
  (1) 司法書士倫理40条の意義 
  (2) 注意勧告事例-平成18年12月19日注意勧告( 『月報』 422号67頁)
第4 章 司法書士の裁判外和解代理権Q&A
1  代理権の範囲 
Q 1  司法書士は, すべての「 民事の紛争」 について裁判外の和解を代理することができるか。
Q 2  「民事に関する紛争」 のうち「 簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象にならないもの」 については, 司法書士は裁判外の和解を代理することができないが, それはどのようなものか。 
Q 3  司法書士法3 条1 項7 号は, 裁判外和解の代理権について「 民事に関する紛争( 簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)」と規定しているので, 司法書士が裁判外の和解の代理をすることができる紛争は, 民事訴訟法 (平成8 年6 月26日法律第109号) に定められた手続の対象となる紛争に限られるか。 
Q 4  売主が, 売買代金140万円の支払いを求める場合に「 本契約に関する紛争については, ○○地方裁判所を第1 審の専属的合意管轄裁判所とする」 との定めがある場合, 司法書士は, 裁判外の和解の代理をすることができるか。 
2  訴えの提起
Q 5  司法書士は, 紛争の目的の価額が裁判所法33条1 項1 号に定める額 (140万円) を超えない民事の紛争について,裁判外の和解の代理をすることができるが, この金額( 140万円) はどのように算定するか。 
Q 6  紛争の目的の価額が140万円を超えるものか超えないものかを算定するため,裁判外の和解の対象である紛争を特定するにはどうすればよいか。
Q 7  債権者が元本債権金120万円の貸金返還請求をするとともに,その元本債権についての利息(あるいは遅延損害金)金30万円を合わせて支払請求する場合, 司法書士は, 当該請求について債権者の代理人として裁判外和解をすることができるか。
3  客観的併合の事例設定 
Q 8  債権者Xが債務者Yに対し, 残元金100万円の( A)貸金債権と別個の貸付による残元金60万円の( B) 貸金債権を有する場合に,?  司法書士は, 100万円の( A) 貸金債権又は60万円の(B) 貸金債権について, 個別に債権者Xの代理人として裁判外和解の代理をすることができるか。
   ?  司法書士は, 100万円の (A) 貸金債権と60万円の (B) 貸金債権を併せて( 併合して) 債権者Xの代理人として裁判外和解の代理をすることができるか。
4  主観的併合の事例設定
Q 9  債権者Xが残元金100万円の貸金債権について, 主たる債務者Yに対する債権と,( 連帯) 保証人Zに対する債権について, 併せて裁判外和解をする場合, 司法書士は債権者Xの代理人として,当該和解をすることができるか。 
5  代理権の範囲に関する設定 
Q10  紛争の目的の価額を算定するための仮の裁判所手続の設定は,だれが, どのような基準で行うか。 
Q11  売主が,売買代金140万円の支払いを求める場合に「 本契約に関する紛争については, 東京地方裁判所を第1 審の専属的合意管轄裁判所とする」 との定めがある場合, 仮の裁判所手続として簡易裁判所に対する売買代金支払請求訴訟とか簡易裁判所に対する売買代金支払いを求める調停等を設定することは可能か。 
Q12  当事者が紛争の目的の価額を算定するための仮の裁判所手続の設定をし, 司法書士が代理人として, 裁判外和解の代理権の付与を受ける場合 (代理権授与契約を締結する場合) において, 注意すべき点は何か。 
6  一部和解の代理 
Q13  債権者Xが債務者Yに対して元本金200万円の貸金債権を有する場合において, 債権者Xが, 200万円のうちの140万円部分のみについての支払請求訴訟を仮の裁判所手続として設定し,司法書士に裁判外和解の代理権を付与することは認められるか。 
7  仮の裁判所手続の設定 
Q14  紛争の目的の価額を算定するための仮の裁判所手続の設定は,一度した場合には,その後,その設定を変更することはできないか。
Q15  和解交渉の相手方が,司法書士に代理権を与えた当事者が設定した仮の裁判所手続の内容に異議を唱えた場合はどうなるか。
Q16  和解交渉の相手方が,司法書士に代理権を与えた当事者が設定した仮の裁判所手続の内容に異議を唱え,司法書士の代理権を認めず,裁判外の和解交渉が進まない場合はどのようにしたらよいか。 
8  具体例−債務整理関係 
Q17  当事者( 債務者) が, 債務弁済調停や特定調停を仮の裁判所手続として設定した場合, 紛争の目的の価額の算定はどのようにされるか。 
Q18  債務者が債務弁済調停や特定調停を仮の裁判所手続として,「複数の債権者」 と裁判外の和解をする場合, 紛争の目的の価額はどのように算定することになるか。
Q19  継続的な取引終了後, 債権者が220万円の残債務を主張し, 債務者が100万円の残債務の存在しか認めない場合,司法書士は債務者の代理人として裁判外の和解について代理することができるか。
9  具体例−損害賠償 
Q20  被害者Aと加害者Bとの間における交通事故について,加害者Bから損害賠償額を100万円と考えているが,被害者からの請求額が不明の場合,司法書士は債務者の代理人として裁判外の和解について代理することができるか。
10 具体例−建物明渡し
Q21  6 か月間家賃の未払いが継続しているため,賃貸人が賃借人に未払い家賃( 合計60万円) の支払いを求め, その支払いがされない場合には賃貸借契約を解除し, さらに建物( 建物の価額200万円) の明渡しを求める紛争につき, 司法書士は賃貸人の代理人として裁判外の和解について代理することができるか。
Q22 ?  1 年6 か月間家賃の未払いが継続しているため, 賃貸人が賃借人に未払い家賃 (合計160万円) の支払いを求める紛争につき, 司法書士は賃貸人の代理人として裁判外の和解について代理することができるか。
    ?  ?の支払いがされない場合に賃貸借契約を解除し,建物(建物の価額200万円)の明渡しを求めるとともに未払い賃料160万円の支払いを求める紛争につき,司法書士は賃貸人の代理人として裁判外の和解について代理することができるか。
11  裁判外和解の申し出をされた相手方の代理について(同時履行の抗弁について) 
Q23  買主Xが (訴額100万円の動産の引渡請求訴訟を仮の裁判所手続として設定して) 司法書士Aを代理人として選任し, 裁判外において売買の目的動産の引渡請求を売主Yに対して行った場合, 売主Yから代理人として選任された司法書士Bは裁判外において売買代金150万円が未払いであることを主張して同時履行の抗弁を主張することができるか。 
12  裁判外和解の申し出をされた相手方の代理について(相殺の抗弁について) 
Q24  債権者Xが( 元本140万円の貸金返還請求訴訟を仮の裁判所手続として設定して) 司法書士Aを代理人として選任し, 裁判外において140万円の金銭支払請求を債務者Yに対して行った場合, 債務者Yから代理人として選任された司法書士Bは裁判外において200万円の反対債権の存在を主張して相殺の主張をすることができるか。
13  当初設定された仮の裁判所手続の訴額等を超える和解の成立について 
Q25  債権者Xが( 元本140万円の貸金返還請求訴訟を仮の裁判所手続として設定して) 司法書士Aを代理人として選任し, 裁判外において140万円の金銭支払請求を債務者Yに対して行ったところ, 債務者Yから, XのYに対する別口の元本100万円の債権とを合わせて, 2 個の債務の存在を認めるので, 以後の弁済方法の変更について和解したい旨の申し出がされた場合, 司法書士Aはその和解をすることができるか。
14 裁判外和解における和解条項の内容について 
Q26  下記の??について, 司法書士が当事者の代理人( 代理業務) として裁判外の和解をするに際し, その取下げについての確認条項を盛り込んで和解を成立させることができるか。
   ? 保全執行手続が地方裁判所・執行官事件である場合
   ? 保全執行手続が簡易裁判所事件である場合
   (ア) 140万円以下である場合
   (イ) 140万円を超える場合
第4 章 資 料
   資料1  司法書士委任契約書
   資料2  司法書士の紛争解決実務の実態 
著者略歴
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 不動産,対抗要件に関連する用語
 債権に関連する用語
 訴訟・裁判に関する用語
 刑法・不法行為法の用語
おわりに これから何をすべきか
索引(英語)
事項索引
著者紹介

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