判例に学ぶ婚姻を継続し難い重大な事由

本体 ¥ 2,500
¥ 2,750 税込

著者:本橋美智子/著
判型:A5判
ページ数:232頁
発刊年月:2020年7月刊
ISBN/ISSN:9784817846587
商品番号:40828
略号:婚継続

商品情報

民法770条1項5号の解釈・判断に迫る!
67裁判例を分類し、ポイントを簡潔にまとめた1冊

●40年以上離婚事件を担当してきた弁護士が、離婚訴訟における離婚原因の根本、民法770条1項5号の解釈・判断に迫る。
●民法770条1項5号の解釈に関連する67裁判例を収録し、「婚姻破綻」、「有責配偶者の離婚請求」、「離婚慰謝料」、「不貞慰謝料」に分類。
●裁判例ごとに、事案と判旨を簡潔に紹介し、各判例の意義や要旨等をキーポイントとして掲載。

目次

第1章 民法770条1項5号の離婚原因
第1 民法770条の立法過程と趣旨
1 明治31年の民法(明治民法)の離婚原因に関する規定
2 大正8年設置の臨時法制審議会の離婚原因規定
3 昭和23年施行の現民法の規定
第2 民法770条と破綻主義
1 民法770条は破綻主義に基づく規定か
2 一般的破綻主義説
3 限定的破綻主義説
第3 民法770条1項と2項との関係
1 5号所定の事由に2項が適用されるか
2 2項適用説
3 判例
第4 民法770条1項5号についての学説の検討
1 我妻榮説
2 中川善之助説
3 阿部徹説
第5 昭和62年最判以前の判例における民法770条1項5号の解釈
第6 昭和62年最判における民法770条1項5号の解釈
第7 民法改正要綱の内容
1 離婚原因の条文
2 5号の改正条文
3 5年別居条項
4 苛酷条項の導入
5 信義則条項の導入
第8  昭和62年最判以後の判例・学説における,民法770条1項5号の判断要素の類型
1 民法770条1項5号の判断基準の類型
2 「婚姻を継続し難い重大な事由」=「婚姻破綻」と解する考え方
3 「婚姻を継続し難い重大な事由」=「婚姻破綻+婚姻の修復不可能性」と解する考え方
4 「婚姻を継続し難い重大な事由」=「婚姻破綻+婚姻の修復不可能性+婚姻の継続を相当と認める事由の不存在」と解する考え方
 (1)婚姻破綻だけでは不十分とする説
 (2)破綻以外の事由を考慮した判例
第9 裁判実務における民法770条1項5号の理解
1 裁判実務における5号事由の解釈
 (1)婚姻義務違反による婚姻破綻説
 (2)相当期間の別居による破綻推定説
 (3)有責行為による区分説
 (4)総合判断説
⑸ 相当期間の別居による区分説
2 各説の比較
 (1)相当期間の別居の意味
 (2)一方当事者の有責行為の意味
第10 別居の意義・期間
1 裁判実務における別居の意義
2 婚姻破綻が事実上推定される別居の期間
3 別居期間についての学説
 (1)3年プラス1年,マイナス1年
 (2)4年ないし5年以上
 (3)3,4年
 (4)3年ないし5年

第2章 有責配偶者の離婚請求
第1 昭和62年最判以前の有責配偶者の離婚請求に関する学説
1 消極的破綻主義説
 (1)我妻榮説
 (2)中川善之助説
 (3)佐藤哲郎説
2 積極的破綻主義説
 (1)中川淳説
 (2)野田愛子説
3 両説の根拠
第2 有責配偶者の定義及び認定
1 有責配偶者の定義
2 ほとんどの有責配偶者は不貞配偶者
第3 昭和62年最判以前の有責配偶者の離婚請求に関する判例
1 踏んだり蹴ったり判決
2 有責配偶者の離婚請求を認めない判例
3 有責配偶者の離婚請求法理の制限
4 有責配偶者の離婚請求を認める下級審判決
第4 昭和62年最判の内容とその解釈
1 昭和62年最判の内容
2 昭和62年最判の解釈
 (1)2つの判断アプローチ
 (2)2つの判断アプローチの関係
 (3)三要件アプローチの意味
第5 三要件の主張立証責任
第6 相当長期間の別居について
1 最判解説
2 秋武・岡説
3 別居期間10年超は当然に相当長期の別居
4 有責配偶者の離婚請求が認められる相当長期の別居期間
第7 未成熟子の不存在について
1 未成熟子の不存在は要件とまではいえない
2 未成熟子の不存在を考慮事由とすることへの疑問
3 判例における未成熟子の不存在の事由
第8 特段の事情について
1 特段の事情の内容
2 特段の事情に子についての事情が含まれるか
第9 その他の考えられる考慮事由
1 婚姻費用分担義務の不履行
2 面会交流の非寛容

第3章 有責配偶者の離婚請求と5号所定の事由による離婚請求との関係
第1 「有責配偶者の離婚請求」法理の役割
1 昭和62年最判理論の変更判例
 (1)三要件の変更
 (2)有責配偶者の妻からの離婚請求への不適用
2 「有責配偶者の離婚請求」法理に反対する学説
 (1)久保野恵美子説
 (2)犬伏由子説
3 「不貞行為=有責性」認定の問題
4 婚姻破綻の徴表としての別居期間と相当長期間の別居との関連
第2 「婚姻を継続し難い重大な事由」の認定における有責性
1 有責性の排除
2 有責性考慮の必要性
第3 5号所定の事由の認定についての私見
1 「婚姻を継続し難い重大な事由」の認定
2 信義則違反の抗弁

第4章 離婚慰謝料
第1 離婚慰謝料の法的性質
1 離婚原因慰謝料と離婚自体慰謝料
2 離婚原因慰謝料の内容
3 離婚自体慰謝料の内容
4 離婚原因慰謝料と離婚自体慰謝料との関係
5 離婚原因慰謝料と離婚自体慰謝料の訴訟物
第2 不貞慰謝料
1 XのY(不貞相手)に対する慰謝料請求
2 XのZ(他方配偶者)に対する慰謝料請求
第3 第三者に対する離婚慰謝料の請求
1 第三者に対する離婚慰謝料請求を認めた判例
2 第三者に対する離婚慰謝料請求を否定した最高裁判決
第4 離婚慰謝料と財産分与の関係
第5 離婚慰謝料の成立要件,考慮事由─不法行為の要件の緩和
1 個別的有責行為が不法行為の要件を充足する必要はない
2 離婚慰謝料算定の考慮事由
3 特殊な離婚慰謝料認定の判例
4 婚姻破綻に至る個別的有責行為認定の厳格化
第6 離婚慰謝料の損害の内容
第7 離婚慰謝料請求権等の消滅時効
1 民法724条の消滅時効の起算点 58
2 離婚慰謝料請求権の消滅時効の起算点
3 不貞慰謝料請求権の消滅時効の起算点
第8 離婚慰謝料の遅延損害金の起算日

参考裁判例:婚姻破綻
1 民法770条1項5号の意味
2 別居8年の夫婦につき夫からの離婚請求を棄却した事案
3 難病の妻に対する離婚請求を棄却した事案
4 妻からの離婚請求を民法770条2項を適用して棄却した事案
5 妻の宗教活動を理由とする夫からの離婚請求が棄却された事案
6 暴力・暴言を行った夫からの離婚請求
7 妻からの離婚請求を棄却した事案
8 夫の離婚請求を棄却した事案
9 別居期間1年余りの夫の離婚請求を認容した事案
10 2年半以上の別居状態でも婚姻破綻とは認められなかった事案
11 別居期間4年10か月の妻からの離婚請求を認容した事案
12 別居期間3年5か月の妻からの離婚請求を認容した事案
13 同居審判における婚姻破綻の意義

参考裁判例:有責配偶者の離婚請求
14 有責配偶者の夫の離婚請求を棄却した事案
15 有責配偶者の夫の離婚請求を棄却した事案
16 有責配偶者の夫に対する妻の離婚請求を認容した事案
17 妻の有責行為をも認定して,夫の離婚請求を認容した事案
18 婚姻破綻の有無及び夫の有責性について審理不尽とした事案
19 有責配偶者の夫の離婚請求を棄却した事案
20 破綻後に同棲した夫を有責配偶者でないとした事案
21 有責配偶者の夫からの離婚請求を棄却した事案
22 別居期間36年余りの有責配偶者の夫からの離婚請求を認容した事案
23 有責配偶者からの離婚請求が認められる要件
24 別居期間30年の有責配偶者の夫からの離婚請求
25 別居期間22年の有責配偶者の夫からの離婚請求
26 別居期間16年の場合の有責配偶者の夫からの離婚請求
27 有責配偶者の妻からの離婚請求が認められた事案
28 合意による別居期間22年の有責配偶者からの離婚請求
29 別居期間8年余りの有責配偶者からの離婚請求を棄却した事案
30 夫が姑の嫁いびりに加担したことを有責と認定した事案
31 別居期間15年6か月の有責配偶者の夫からの離婚請求の事案
32 8年の別居期間が相当長期間といえるか
33 別居の開始時期の認定
34 別居期間9年8か月の有責配偶者の妻からの離婚請求を認めた事案
35 高校2年の子がいる場合の有責配偶者からの離婚請求
36 別居期間20年以上の有責配偶者からの離婚請求を棄却した事案
37 未成熟子がいる別居期間13年の有責配偶者からの離婚請求を棄却した事案
38 別居期間6年の有責配偶者からの離婚請求
39 再度提起された有責配偶者からの離婚請求を認容した事案
40 別居期間9年の有責配偶者からの離婚請求
41 別居期間2年4か月,7歳の子がいる場合の有責配偶者からの離婚請求
42 障害のある成人に達した子がいる場合の有責配偶者からの離婚請求
43 未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求が認容された事案
44 別居期間14年以上の有責配偶者からの離婚請求が棄却された事案
45 重度の障害を負う子の介護等を理由に有責配偶者からの離婚請求が棄却された事案
46 別居期間9年4か月の有責配偶者からの離婚請求が棄却された事案
47 2人の未成熟子がいる有責配偶者の妻からの離婚請求が認容された事案

参考裁判例:離婚慰謝料
48 離婚における慰謝料請求権の性質
49 財産分与後の慰謝料請求
50 性交渉がないことを原因とする離婚の慰謝料
51 日本在住のアメリカ人夫婦の離婚慰謝料請求の準拠法
52 離婚慰謝料請求の準拠法
53 高齢者の離婚における慰謝料
54 夫の暴力による離婚の場合の慰謝料
55 不貞相手に対する離婚慰謝料の請求
56 夫の暴力による損害賠償請求
57 離婚慰謝料請求が棄却された事案
58 500万円の離婚慰謝料と不貞行為相手に対する300万円の慰謝料が認められた事案
59 500万円の離婚慰謝料が認められた事案
60 不貞慰謝料請求権と離婚慰謝料請求権の訴訟物
61 離婚慰謝料と個別慰謝料の関係
62 不貞行為の相手に対する離婚慰謝料請求

参考裁判例:不貞慰謝料
63 配偶者の不貞相手に対する不貞慰謝料請求
64 夫が支払った慰謝料による損害の填補
65 慰謝料請求権の消滅時効
66 夫に対する慰謝料債務の免除の効力
67 婚姻破綻後の肉体関係

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