家庭の法と裁判 2020年8月号<特集:高齢者を取り巻く諸問題>vol.27

本体 ¥ 1,800
¥ 1,980 税込

著者:家庭の法と裁判研究会/編
判型:B5判
ページ数:192頁
発刊年月:2020年8月刊
ISBN/ISSN:9784817846648
商品番号:31009
略号:家判

商品情報

1号(2015年4月号)~23号(2019年12月号) 記事・裁判例の総索引はこちら(24号所収)
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【特集】高齢者を取り巻く諸問題
津曲共和(前兵庫県健康福祉部少子高齢局高齢政策課長)
小川純人(東京大学大学院医学系研究科老年病学准教授)
志和謙祐・畠山和大・菅野千恵子(大阪弁護士会)
樋口範雄(武蔵野大学法学部教授)
〇 高齢者が自分らしく生きるには?
〇 認知症・フレイルへの対応・支援策とは?
〇 高齢者を取り巻く法的問題と、その予防策とは?
〇 高齢者と、家族・社会保障の在り方とは?
高齢者支援の正しい理解のために!

<主な収録内容>離婚法制の最新海外調査の概要や離婚当事者に向けた取組を紹介!

【解説】
◆法務省における父母の離婚後の子の養育等に関する近時の取組について
倉重龍輔(法務省民事局付)

【最高裁判例】
婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の帰すう
(最一小決令和2年1月23日)

【独自収録裁判例】
戸籍法49条の出生届を怠ったことについて,DV被害を受けていたことなどを理由として,同法137条の「正当な理由」があると認められた事例独自収録
(東京簡決令和元年10月23日)

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目次

◆特集 高齢者を取り巻く諸問題
・高齢者と家族を支援する制度と地域・社会の一員として生活すること
前兵庫県健康福祉部少子高齢局高齢政策課長 津曲 共和

・高齢者の認知症・フレイルの特性とその支援
東京大学大学院医学系研究科老年病学准教授 小川 純人

・高齢者の法的問題─意思能力が問題となる前に
弁護士 志和 謙祐
弁護士 畠山 和大
弁護士 菅野千恵子

・家族の高齢者介護義務と社会保障─私的自治と契約の役割
武蔵野大学法学部教授 樋口 範雄


◆最高裁判例(1件)
・婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の帰すう
(最一小決令和2年1月23日 婚姻費用分担審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件)
(参考)原 審 札幌高等裁判所平成30年11月13日決定
    原々審 釧路家庭裁判所北見支部平成30年9月20日審判


◆家事関係裁判(7件)
・未成年者の父である抗告人が,未成年者の母である相手方に対し,和解離婚した際の和解条項に基づく未成年者の養育費の額を減額するよう求めた事案において,抗告人が再婚し,再婚相手との間に子をもうけ,新たに扶養義務を負う者が生じたこと,定年退職により収入が減少したこと,再就職先を退職し収入がなくなったことはいずれも事情の変更に当たるとして,養育費減額請求調停の申立て月から再就職先退職月までについては抗告人の再就職先での収入を総収入額と見て,それ以降については抗告人の年間支出予定額相当額を基礎収入額と見てそれぞれ養育費の額を変更(減額)するのが相当であるとした事例
(広島高決令和元年11月27日 養育費(減額)申立認容審判に対する即時抗告事件)

・離婚後の非親権者父である抗告人が,親権者母である相手方に対し,子である利害関係参加人らとの面会交流を認める旨の和解離婚時の和解条項にもかかわらず面会交流が実現していないのは,利害関係参加人らが相手方から一方的な情報のみを聞かされ続けて片親疎外の状態に陥ったからであるなどと主張し,利害関係参加人らとの直接交流を求めた事案において,原審が,利害関係参加人らの手続代理人も選任して意向調査等を行った上,相応の年齢に達している利害関係参加人らの拒否の意思が強固であることなどから,上記和解条項を変更し,手紙の送付等の間接交流のみを認める審判をしたのに対し,抗告審は,原審を基本的に維持しつつ,相手方から抗告人に対して利害関係参加人らの電子メールアドレスやLINEのIDを通知すべきことなどを認め,その限度で原審を変更した事例
(東京高決令和元年8月23日 面会交流審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 さいたま家庭裁判所平成31年2月26日審判

・抗告人と相手方は,昭和49年に婚姻後約9年間同居した後別居し,婚姻から約44年後に離婚した。この事実関係の下,原審は,婚姻期間に比して同居期間が短く,年金の保険料納付に対する夫婦の寄与を同等とみることが著しく不当であるような特別の事情があるとして,年金の按分割合を0.35としたのに対し,抗告審は,夫婦の扶助義務は別居した場合も基本的に異ならず,老後のための所得保障についても同等に形成されるべきであり,本件では,上記特別の事情があるとはいえないとして,按分割合を0.5とすべきとして原審判を変更した事例
(大阪高決令和元年8月21日 請求すべき按分割合に関する処分審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 大津家庭裁判所高島出張所令和元年5月9日審判

・抗告人(原審申立人)が,相手方(原審相手方)に対し,遺産分割協議成立後に発見された遺産の分割を求めた事案において,先行する遺産分割が法定相続分と異なる不均衡なものであったことを考慮し,本件の遺産を全て抗告人に取得させるべきとした抗告人の主張を排斥し,先行する遺産分割の際に各相続人の取得する遺産の価額に差異があったとしても,そのことを是認していたというべきであり,その後の清算は予定されていなかったとして,本件の遺産を法定相続分により分割した原審の判断を肯認し,抗告を棄却した事例
(大阪高決令和元年7月17日 遺産分割審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所平成31年3月6日審判

・国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるブラジル連邦共和国に返還するよう求めた事案において,同国が子の常居所地国であると認めた上で,法28条1項3号(子の連れ去りの同意又は承諾),同項4号(重大な危険)等の返還拒否事由があるとは認められないことから,子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
(東京高決平成31年3月27日 子の返還決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所平成31年2月4日決定

・国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるロシア連邦に返還するよう求めた事案において,原決定後にロシア国内の裁判所が,子の居住地を抗告人の下とし,抗告人が子を連れてロシアから日本へ出国することを許可する決定をしたことにつき,法28条3項ただし書に基づき,同決定の理由が,子の返還事由の判断に影響しないかを検討した上で,返還拒否事由があるとは認められないことから,子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
(東京高決平成31年2月28日 子の返還決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所平成30年11月30日決定

・戸籍法49条の出生届を怠ったことについて,DV被害を受けていたことなどを理由として,同法137条の「正当な理由」があると認められた事例
(東京簡決令和元年10月23日 戸籍法違反過料事件)


◆少年関係裁判(2件)
・少年が,被害者に対して立腹し,共犯者3名と共謀の上,被害者に暴行を加え,現金を脅し取るとともに傷害を負わせたという恐喝,傷害保護事件において,少年を第1種少年院送致(短期間の処遇勧告)とした原決定につき,本件非行が極めて悪質とまではいえないこと,少年の非行性がそれほど根深いものではないこと,家裁への係属歴がないことなどを指摘し,試験観察に付することを含め,在宅処遇の可能性を検討すべきとして,これを取り消した事例
(東京高決令和元年8月28日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

・第1種少年院を仮退院した少年に係る戻し収容申請事件において,第3種少年院戻し収容とした原決定を是認し,抗告を棄却した事例
(福岡高決令和元年7月24日 第3種少年院戻し収容決定に対する抗告申立事件)


◆法務省における父母の離婚後の子の養育等に関する近時の取組について
法務省民事局付 倉重 龍輔


◆連 載
・遺産分割事件のケース研究
第5回 事例検討・ 調停に代わる審判を中心とした研究
静岡家庭・地方裁判所判事補(前東京家庭裁判所判事補) 藤枝 祐人

・外国少年司法事情
第21回 北欧(20)スウェーデンの少年保護法制─社会内処遇の実情
立教大学大学院法務研究科特任教授 廣瀬 健二

・少年矯正の現場から
第16回 外国籍少年に学ぶ日本の多文化共生社会~グループワークによる自己開示から得られたもの~
瀬戸少年院法務教官専門官 沼田 好司


◆家庭裁判所事件の概況(2・完)─少年事件─
最高裁判所事務総局家庭局

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