家庭の法と裁判 2021年2月号<座談会:遺言執行者の実務>vol.30

本体 ¥ 1,800
¥ 1,980 税込

著者:家庭の法と裁判研究会/編
判型:B5判
ページ数:160頁
発刊年月:2021年2月刊
ISBN/ISSN:9784817847010
商品番号:31009
略号:家判

商品情報

家事事件・少年事件の最新動向を追う唯一の判例雑誌

1号(2015年4月号)~23号(2019年12月号) 記事・裁判例の総索引はこちら(24号所収)
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目次

◆座談会 遺言執行者の実務
 二宮周平(立命館大学法学部教授)【司会】
 犬伏由子(慶應義塾大学名誉教授・家事調停委員)
 山田知司(神田公証役場公証人)
 片岡 武(弁護士・家事調停委員)
 増田勝久(弁護士)
 田村直史(三井住友信託銀行個人企画部/三井住友トラスト・資産のミライ研究所)

◆講 演 録 改正相続法の経過措置について
堂薗幹一郎(法務省大臣官房審議官)

◆最高裁判例(1件)
財産の分与に関する処分の審判において当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき当該他方当事者に分与しないものと判断した場合に家事事件手続法154条2項4号に基づきその明渡しを命ずることの許否
(最一小決令和2年8月6日 財産分与審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件)
(参考)原 審 東京高等裁判所令和元年6月28日決定
    原々審 横浜家庭裁判所平成31年3月28日審判

◆家事関係裁判(6件)
・夫である相手方が,別居中の妻である抗告人に対し,未成年者らの監護者を相手方と指定するとともに,現在,抗告人の下で養育されている二女及び三女を相手方に引き渡すことを求める一方で,抗告人が,相手方に対し,未成年者らの監護者を抗告人と指定するとともに,現在,相手方の下で養育されている長女を抗告人に引き渡すことを求めた事案において,原審は,未成年者らの監護者をいずれも相手方と指定し,二女及び三女を相手方に引き渡すよう命じたところ,抗告審は,姉妹分離の点については,監護者指定に当たっての一考慮要素にすぎないとした上で,二女及び三女との関係では,従前ないし現在の監護環境を維持することが最も子の福祉に合致するとして,長女の監護者を相手方と,二女及び三女の監護者を抗告人とそれぞれ定め,抗告人及び相手方のその余の申立てはいずれも却下した事例
(東京高決令和2年2月18日 子の監護者の指定及び子の引渡し審判に対する抗告事件)

・未成年者の祖母である相手方が,抗告人ら(未成年者の母及び養父)に対し,未成年者の監護者を相手方と定めることを求めた事案において,民法766条1項の法意に照らし,相手方は,未成年者を事実上監護する祖母として,未成年者の監護者指定を求める本件申立てをすることができるとした上で,抗告人らの親権の行使が不適当であるため,未成年者を抗告人らに監護させた場合,未成年者の健全な成長を阻害するおそれが十分に認められる一方,相手方による未成年者の監護状況に特段の問題はうかがわれず,未成年者が現時点においては落ち着いた生活を送ることができていることからすれば,未成年者の監護者を相手方と定めるのが相当であるとして,抗告人らの各抗告をいずれも棄却した事例
(大阪高決令和2年1月16日 子の監護に関する処分(監護者指定)審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所令和元年9月27日審判

・夫である相手方(原審申立人)が,妻である抗告人(原審相手方)に対し,前件調停で合意された婚姻費用の分担額の減額を求めた事案において,相手方の収入の減少は,具体的に予見されていたものとはいえず,改めて婚姻費用の額を算定するのが相当であるとした上で,その算定の基礎とすべき相手方の収入は,退職月の翌月から離婚又は別居解消に至るまでの期間については,相手方が65歳で年金受給を開始していたとすれば受給できた年金収入を給与収入に換算した額及び配当収入を給与収入に換算した額を合算した額とするのが相当であるとして,原審判を一部変更した事例
(東京高決令和元年12月19日 婚姻費用減額審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和元年9月6日審判)

・離婚した元夫婦間において,元夫である申立人が,未成年者を監護養育している元妻である相手方に対し,相手方が前件面会交流審判の定める面会交流を実施しないとして,面会交流する時期,方法等を定めるよう求めた事案において,前件審判は,面会交流の具体的な日時,場所及び方法等について当事者間の協議に委ねていたところ,相手方はそれ以降本件審判に至るまで面会交流義務を履行せず,申立人と未成年者との面会交流を拒否する姿勢が強固なものであること,面会交流について申立人との間で協議することも拒否していることからすると,面会交流の確実な実施のためには,相手方がすべき給付の内容を特定すべきであるとして,民法766条3項に基づき,前件審判の主文のうち,必要な部分を変更した事例
(福岡家審令和2年1月10日 面会交流申立事件)

・成年後見人に選任された推定相続人でない親族が申し立てた特別縁故者に対する財産分与の申立てについて,申立人の被相続人との交際・援助は,親族間の通常の範囲を超え,成年後見開始後も後見人の通常の職務の程度を超えているなどとして申立人を特別縁故者と認定した上,分与の額については,申立人が被相続人の成年後見人に選任され在任期間中の17年間については983万円の報酬が付与された点に鑑みその活動を重視することはできないが,それ以前の活動についてはその援助を相応に重視すべきであり,被相続人が生前,死後申立人に全財産を贈与するとの意向を示したことも考慮して,相続財産9583万円余りの10%を超える1200万円を分与するのが相当であると判断された事例
(大阪家審令和元年10月21日 特別縁故者に対する相続財産分与申立事件)

・妻である申立人が,別居中の夫である相手方に婚姻費用の分担を求めた事案において,いわゆる標準算定方式によって算定される婚姻費用の額に加えて,申立人が別居に伴い新たに賃借した住居費の一部の分担が命じられた事例
(東京家審平成31年1月11日 婚姻費用分担申立事件)

◆少年関係裁判(3件)
・店舗等における窃盗3件及び放置盗難自転車の持ち去りという窃盗,占有離脱物横領保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,試験観察に付することを含め,社会内処遇の可能性を十分に検討すべきであり,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
(東京高決令和2年4月3日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

・少年が当時の交際相手である被害者に対して包丁を示して脅迫したという暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,非行についての評価は是認できず,要保護性についても,必ずしも認定の根拠が十分でない事実に基づく評価等を基に決定をした疑いがあり,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
(東京高決令和2年4月2日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

・少年がタクシーに無賃乗車し,その運転手に対して金属バットをガードレールに叩き付けるなどして脅迫したという詐欺,暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において,第3種少年院送致(医療措置終了後は第1種少年院への移送が適当)とした原決定につき,試験観察を求める付添人の主張を排斥し,抗告を棄却した事例
(東京高決令和2年4月2日 第3種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

◆法務省「養育費不払い解消に向けた検討会議」取りまとめの概要
高橋あゆみ(法務省民事局付)

◆連 載
・外国少年司法事情
第23回 北欧 スウェーデンの少年保護法制─施設内処遇
廣瀬 健二(130立教大学大学院法務研究科特任教授)

・更生保護の現場から
第17回 地域生活定着促進事業について
高津  努(群馬県地域生活定着支援センター所長)

・公証家事実務Q&A
第13回 任意後見契約
山下  寛(難波公証役場公証人)

・子どもの話を聴くための手法と実践例─司法面接の技法をいかして
第6回 司法面接と特別措置
仲 真紀子(立命館大学総合心理学部教授)

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