子どもの意見表明権の理論と実務とこれから

児童相談所業務を中心に
本体 ¥ 2,400
¥ 2,640 税込

著者:浦弘文/著
判型:A5判
ページ数:228頁
発刊年月:2023年11月刊
ISBN/ISSN:9784817849229
商品番号:40974
略号:子意見

商品情報

~子どもが自分の人生を歩むために~
「子どもの意見表明権」とは何か? 子どもの意見表明権を保障するためには?
「子どもの意見」と「子どもの最善の利益」のはざまの悩みにこたえる一冊!
「意見聴取等措置」をとる際のポイントや留意点、「意見表明等支援事業」の構築・運用がわかる!
――令和4年児童福祉法改正(令和6年4月1日施行)対応――

◎子どもの意見表明権とは何か【理論がわかる!】
子どもの意見表明権の法的意義や、意見形成支援の在り方、子どもの聴かれる権利などについて、抽象論ではなく、 具体的な場面を挙げながら、わかりやすく解説。 実務で悩むことの多い乳幼児・障がいがある子どもの意見表明権や、子どもの最善の利益との関係なども実務に即して丁寧に解説。

◎子ども虐待対応と「子どもの意見表明権」【実務がわかる!】
入所措置や一時保護等の場面に応じて、どのように子どもの意見表明権を保障してくべきかなど、ケースワーク上でも重要となる問題について、児童相談所業務を中心に、具体的な対応や留意点を解説。さらに想定ケースに基づいた具体的な対応も盛り込まれ、現場での実践に役立つ内容。

◎令和4年児童福祉法改正への対応【「これから」行うべきことがわかる!】
「意見聴取等措置」と「意見表明等支援事業」について、スタートアップマニュアル案やガイドライン案、本書の内容を踏まえた実務対応や留意点などが、よくわかる。意見表明等支援員の基本原則(子ども主導)とは、どういうものなのかも具体的に解説。 明石市の「こどもの意見表明支援制度」の運用に関する具体的な解説に加え、業務委託先の弁護士会との契約書や仕様書等の一部も収録。今後、全国の自治体が制度構築を行う際に役立つ内容。

イラストや図表、事例を交えて解説!【こちらから見本のPDFが確認できます】

<著者紹介>
弁護士・社会福祉士・公認心理師・精神保健福祉士
2012年弁護士登録。弁護士登録後は、少年事件の付添人や子どもシェルターに入所した子どもの担当弁護士として活動。
2017年に兵庫県明石市に入庁。2019年4月に同市に設置された明石こどもセンター(児童相談所)の立ち上げに携わり、同センター開設後は同センターの相談支援担当課長(常勤弁護士・指導指導教育担当児童福祉司)として勤務。また、2021年10月に同市が兵庫県弁護士会と協定を締結し制度化した「こどもの意見表明支援制度」を立案し、構築・運用に至るまで中心となって業務に従事。
2023年3月より、奈良市子どもセンターの常勤弁護士として勤務。
●委員活動等
 ・NPO法人全国子どもアドボカシー協議会 理事(2022年~)
 ・日本弁護士連合会子どもの権利委員会委員・幹事(2015年~)
●共著
 ・ 『子ども虐待対応 法的実務ガイドブック―児童相談所弁護士による実践的対応と書式―』(日本加除出版、2020年)
 ・『子どもの虐待防止・法的実務マニュアル〔第7版〕』(明石書店、2021年)
 ・『実務コンメンタール児童福祉法・児童虐待防止法』(有斐閣、2020年)

目次

第1章 子どもの意見表明権 ―“理論”を中心に―
はじめに
 1 子どもが自分の人生を歩くための意見表明権
 2 子どもの意見表明権の法的根拠
第1 子どもの意見表明権

 1 子どもの意見表明権の法的意義
  (1) 「意見」
   ア 意義
   イ 決定権者が把握すべき子どもの「意見」
   ウ 子どもが「意見」を表明するために
  (2) 「自由に」
  (3) 「自己の意見を形成する能力のある児童」
  (4) 「その児童に影響を及ぼすすべての事項」
  (5) 「正当に尊重される」(相応に考慮される)
   ア 意義
   イ 意見表明権の社会権的側面
   ア 意義  
   イ 子どもの意見の「重み」(due weight)  
   ウ 「正当に尊重される」ことの手続的側面の保障
 2 意見形成支援
  (1) 意義
  (2) 方法
第2 子どもの聴かれる権利
 1 子どもの聴かれる権利の法的意義
  (1) 「あらゆる司法上及び行政上の手続において」
  (2) 「国内法の手続規則に合致する方法により」
  (3) 「直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて」
 2 子どもの聴かれる権利の保障
  (1) 在り方
  (2) 意見表明権と聴かれる権利の関係
第3 乳幼児・障害のある子どもの意見表明権
 1 乳幼児の意見表明権
  (1) 享有主体性
  (2) 実態
 2 乳幼児からの意見聴取
 3 障害のある子どもの意見表明権
 4 保障のための留意点
第4 子どもの意見表明権と子どもの最善の利益
 1 子どもの最善の利益とは
  (1) 意義
  (2) 性質
  (3) 子どもの最善の利益の確定
 2 子どもの意見表明権と子どもの最善の利益との関係
  (1) 子どもの意見表明権の保障なしに子どもの最善の利益なし
  (2) 矛盾・対立する概念なのか
   ア 保護範囲
   イ 子どもの意見と子どもの最善の利益に適う支援方針との緊張関係
第5 児童相談所の現場における意見表明権
 1 子どもの意見表明権の保障から出発する子どもの最善の利益
 2 児童相談所の現場における子どもの意見表明権の保障
コラム1 ハッピーセットのおもちゃのお話
コラム2 意見を表明しない権利

第2章 児童相談所業務と子どもの意見表明権 ―“実務”を中心に―
はじめに
第1 児童相談所における主な虐待対応と子どもの意見表明権
 1 在宅支援・指導
  (1) 概要
  (2) 在宅支援・指導における子どもの意見表明権の保障
   ア 在り方
   イ ケースワーク上の意義
 2 一時保護
  (1) 概要
   ア 一時保護の決定
   イ 一時保護中の子どもの生活と支援
   ウ 一時保護中の子どもに対する児童相談所長の権限
   エ 一時保護の解除
  (2) 一時保護における子どもの意見表明権の保障
   ア 一時保護決定時における子どもの意見表明権の保障
    (ア) 子どもにとっての一時保護  
    (イ) 一時保護の決定に際しての意見表明権の保障の在り方  
    (ウ) 一時保護の決定に対する不服申立て  
   イ 一時保護中における子どもの意見表明権の保障
    (ア) 一時保護所のルールに関する子どもの意見表明権の保障の在り方  
    (イ) 子どものエンパワメント  
    (ウ) 親子交流  
   ウ 一時保護解除時における子どもの意見表明権の保障
 3 3号措置
  (1) 概要
   ア 内容
   イ 3号措置の留意点
  (2) 3号措置における子どもの意見表明権の保障
   ア 一時保護との共通点
   イ 一時保護との相違点
 4 28条審判及び親権制限に関する審判手続
  (1) 概要
  (2) 審判手続における子どもの意見表明権の保障
   ア 28条審判における子どもの意見表明権の保障
   イ 親権制限に関する審判手続における子どもの意見表明権の保障
 5 特別養子縁組
  (1) 概要
   ア 内容
   イ 児童相談所業務における特別養子縁組
  (2) 特別養子縁組手続における子どもの意見表明権の保障
   ア 特別養子縁組の支援方針における子どもの意見表明権の保障
    (ア) 養子縁組里親への3号措置時における子どもの意見表明権の保障  
    (イ) 特別養子適格の確認審判申立時における子どもの意見表明権の保障  
   イ 特別養子縁組に関する子どもへの説明内容と説明時期
    (ア) 子どもに対する説明内容  
    (イ) 子どもに対する説明時期  
   ウ 特別養子縁組の審判手続における子どもの意見表明権の保障
 6 自立支援
  (1) 概要
   ア 児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)
   イ 措置延長
   ウ 社会的養護自立支援事業・身元保証人確保対策事業
  (2) 自立支援における子どもの意見表明権の保障
第2 ケースから考える子どもの意見表明権
 1 事例1-1(在宅指導及び一時保護決定時における子どもの意見表明権)
  (1) 「帰りたくない。」という子どもの意見
  (2) 親への指導を拒否する子どもの意見
  (3) 「帰りたくない。」と「一時保護をしてほしい。」との違い
  (4) 一時保護される前に友だちと話したいという子どもの意見
 2 事例1-2(一時保護中,3号措置の方針決定及び28条審判における子どもの意見表明権)
  (1) 一時保護所中に通学したいという子どもの意見
  (2) 3号措置よりも家庭復帰を希望する子どもの意見
   ア 児童相談所長の決定とその判断過程
   イ 措置先に関する子どもの意見
  (3) 子どもの意見から考える子どもの最善の利益に適う支援方針
  (4) 28条審判手続における子どもの意見
 3 事例2(児童相談所の決定を不服とする子どもの意見表明権)
  (1) 2号指導措置の決定に不満を持つ子どもの意見
  (2) 一時保護の決定に不満を持つ子どもの意見
  (3) 一時保護決定に対して審査請求をしたいという子どもの意見
 4 事例3(3号措置中及び自立支援における子どもの意見表明権)
  (1) 施設内でスマートフォンを使いたいという子どもの意見
  (2) 早く一人暮らしがしたいという子どもの意見
コラム3 司法審査と子どもの意見表明権

第3章 意見聴取等措置と意見表明等支援事業 ―子どもの意見表明権の“これから”―
はじめに
第1 意見聴取等措置
 1 意義
 2 内容
  (1) 「意見聴取」
  (2) 「その他の措置」
  (3) 「意見聴取」と「その他の措置」の関係性(優先順位)
 3 意見聴取等措置をとる時期
  (1) 原則と例外
  (2) 緊急の一時保護の場合における意見聴取等措置の在り方
 4 意見聴取等措置をとる際の留意点
  (1) 子どもの意見表明権を実質的に保障する態様によってとらなければならないこと
   ア 意見表明権の自由権的側面の保障
   イ 意見表明権の社会権的側面の保障
  (2) 対象となる子どもや事案は限定されないこと
  (3) 「意見を表明しない権利」を侵害しないこと
  (4) 意見聴取等措置の記録を正確に残すこと
  (5) 本条各号の措置時以外においても意見表明権を保障すること
第2 意見表明等支援事業
 1 意義
 2 内容
  (1) 「意見又は意向」
  (2) 「連絡調整」
   ア 改正児童福祉法の審議経過等における説明
   イ 「連絡調整」を行う際の留意点
  (3) 意見表明等支援事業に従事する者(意見表明等支援員)
   ア 立ち位置
   イ 独立性
  (4) 「意見聴取」と「その他これらの者の状況に応じた適切な方法」の関係性
 3 意見聴取等措置と意見表明等支援事業の関係
第3 子ども主導
 1 子ども主導という考え方
 2 子ども主導と子どもの最善の利益
  (1) 「ケースワーカーを一人増やすことに意味はない。」
  (2) 意見表明等支援員が子どもの最善の利益の立場に立つことの危険性
 3 守秘義務に関する子ども主導
  (1) 意見表明等支援員の守秘義務
  (2) 守秘義務の例外と子どもへの説明
 4 意見表明等支援員と児童相談所等の関係機関との関係性

第4章 子どもの意見表明権の保障のための制度構築に向けて ―兵庫県明石市におけるこどもの意見表明支援制度―
はじめに
第1 兵庫県明石市におけるこどもの意見表明支援制度
 1 本制度構築のきっかけ
  (1) 児童相談所における方針決定の際の子どもの意見表明権の保障
  (2) 一時保護又は3号措置されている子どもの権利保障
  (3) 子どもシェルターにおけるコタン制度
  (4) 児童相談所における弁護士配置と保護者側の弁護士
 2 本制度の概要
  (1) 本制度を利用するまでの大まかな流れ
  (2) 子どもに対する説明
   ア 説明の内容
   イ 説明の際の留意点
  (3) 子どもからの本制度利用の希望の聴き取り
   ア 子どもからの聴き取り
   イ 子どもからのリクエスト
  (4) センターから弁護士会への派遣依頼
  (5) 弁護士会による支援員の選定及び支援員と子どもとの面接
   ア 子どもが支援員に会うまで
   イ 子どもと支援員との面接
   ウ 契約
  (6) 支援員による様々な活動
 3 本制度の特徴
  (1) 支援員が弁護士であること
   ア 弁護士が支援員を務めるということ
    (ア) 弁護士が支援員を務めることへの疑問  
    (イ) 支援員としての専門性  
    (ウ) 支援員としての適性・資質  
 イ 弁護士が支援員を務めることの利点
  (2) 支援員は子どもの要請に応じて派遣されること
  (3) 一時保護等されている場所に関係なく本制度を利用できること
  (4) 支援員は子どもの代理人として援助方針会議等に出席すること
  (5) 支援員は弁護士として子どもの代理人等に就任すること
 4 本制度構築までの道のり
  (1) 本制度の立案
  (2) 庁内での協議
   ア 本制度の対象となる子どもの年齢
   イ 子どもに対する本制度の説明の時期及び方法
   ウ 支援員に対する情報提供
   エ 子どもが支援員と面接する場所
   オ センターによる派遣依頼から子どもが支援員と会うまでの期間
  (3) 弁護士会との協議
   ア 支援員の選定方法
   イ センターから弁護士会への派遣依頼の方法
   ウ 支援員が選定されてから子どもに会うまでのスキーム
   エ センターにおける子どもの意見の把握
  (4) センターと弁護士会とのワークショップ
   ア 目的
   イ 概要
  (5) 施設等の関係機関への説明
  (6) 明石市と弁護士会との業務委託契約
5 想定活用事例
  (1) 事例1 虐待事案①(第2章第2の2の事案)
   ア 一時保護所のルール等に対する意見表明支援
   イ 援助方針会議における意見表明支援
   ウ 28条審判における意見表明支援
  (2) 事例2 親子関係不良事案(第2章第2の3の事案)
   ア 一時保護の決定に対する意見表明支援
   イ 審査請求手続における意見表明支援
    (ア) 支援員が審査請求手続の代理人になることの意義  
    (イ) 支援員の役割  
  (3) 事例3 非行事案
   ア 保護者に対する意見表明支援
   イ 少年審判における付添人活動
  (4) 事例4 養護事案
   ア 一時保護中の過ごし方に対する意見表明支援
   イ 未成年後見人の就任
  (5) 事例5 虐待事案②
   ア 犯罪被害者支援
   イ 離縁手続に関する子どもの代理人の就任
 6 実績と課題
  (1) 実績
  (2) 課題
   ア 本制度を利用できる子どもの対象が限定されていること
   イ 弁護士以外の支援員の確保
   ウ 支援員が子どもの未成年後見人などを務めること
    (ア) 支援員が未成年後見人となることの弊害
    (イ) 支援員の複数選任の必要性  
第2 意見表明等支援事業の実施に向けて
 1 子どもの声を反映させた制度設計
 2 制度構築及び運用に向けた土台作り
 3 多種多様な意見表明等支援員の確保と複数選任
 4 定期訪問型と要請応答型の併用の可能性
 5 子どもに対する説明と意見表明等支援員へのアクセス
コラム4 奈良市子どもセンターにおける取組み

あとがき
著者紹介

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